世界禁煙デー 2013

昨年の今日も取り上げましたが、毎年5月31日は、世界保健機関(WHO)が中心となって喫煙防止を呼びかける「世界禁煙デー」で、今年のテーマは「Ban tobacco advertising, promotion and sponsorshipたばこの宣伝、販売促進、スポンサー活動を禁止しよう)」ですnosmoking

しかし日本の厚生労働省は、禁煙週間(5月31日~6月6日)のテーマとして「たばこによる健康影響を正しく理解しよう」と掲げているだけで、上記のWHOの標語は原文のまま、日本語訳は明記していません。まだ本気でたばこを減らそう、なくそうとは思っていないようです。

たばこの煙には4,000種以上の化学物質、約200種類の有害物質、約60種類の発癌物質が含まれています(最近話題になったPM2.5も入っています)。それらは殺虫剤、電池、ガソリン、塗料、接着剤、殺鼠剤などに含まれている物質と同じものです。化学物質の中にはニコチンの吸収効率や許容量を高めるための成分もあります。 かがく か

去年のブログの繰り返しになりますが、喫煙習慣は「ニコチン中毒症」という病気です。本人の意思で吸っているわけではありません。たばこ1本でたちまち脳が侵され、ニコチンなどの強い依存性物質により次の1本が欲しくなるのです。ニコチン中毒はアルコールやマリファナ、ヘロインよりも依存性が高いといわれています。

またニコチン中毒は喫煙開始年齢が若いほど依存率が高く、再発の可能性も高いのです。ある調査では、22歳までに一度も吸わなければ一生吸わない可能性が高いが、18歳までに吸ったことのある人は、一度やめても再び吸ってしまう確率が高いそうです。そこで、たばこ産業としては若い人により多く吸わせようと、10代の子どもたちが「かっこいい」と思うような宣伝をしたり、若者をターゲットにした売り込み活動をするのです。

世界ではたばこのために毎年600万人の命が奪われ、そのうち60万人は受動喫煙によって命を落としている非喫煙者です。日本でも年間11万人の人が喫煙、もしくは受動喫煙の被害で亡くなっています。

「ストレス解消」という名目で吸っている人もいますが、そのストレスは単なるニコチン切れの離脱症状に過ぎません。たばこさえ吸わなければ、発生しないストレスです。

始めから吸わないのが一番ですが、吸ってしまっても、なるべく早くやめましょう。禁煙は何歳からでも遅くはありません。病気になるリスクが軽減し、食事もおいしくなり、不必要なイライラもなくなります。今はニコチンパッチや禁煙補助薬などで、以前より楽に禁煙ができるようになってきましたので、喫煙者の方はぜひトライしてくださいrock

 

【参考文献】

 多田久剛:「やめろ」と言わない禁煙指導(1)~(4).Training Journal March-June,2013

 WHO神戸センター、NPO法人・日本禁煙学会、厚生労働省の各ホームページ