2012年05月26日

便秘の治療法(現代医学編)

前回ご紹介したように、便秘にはいろいろ種類があり、それに応じて対処も変わりますhospital

 

②器質性便秘と④症候性便秘は、まず原因となっている疾患の治療を行います。

③薬剤性便秘は、可能であればその薬を中止しますが、中止できない場合は浸透圧性下剤(高い浸透圧によって大腸に水分を引き込む薬。酸化マグネシウムなど)を併用して治療します。

①機能性便秘の場合、a.~c.の分類に応じた治療を行いますが、いずれも生活習慣を背景に起こっていることが多いため、まず日常生活の見直しが必要です。具体的には、規則的な食生活、食物繊維や水分をしっかりとる、腹筋運動や腹式呼吸など腹圧を高めるトレーニングを行う、などです。特に「胃・結腸反射」(胃に食べ物が入ると、反射的に大腸が収縮して便を直腸に送り、便意を感じる現象)は通常、朝に強く起こるので、朝食は必ずとり、便意を抑えずトイレに入る時間的余裕を持ちましょう。それでも便秘が解消しなければ、薬物治療を追加することになります。

 a.弛緩性便秘‥‥‥浸透圧性下剤(塩類下剤)や膨張性下剤(多量の水とともに服用することにより便を膨張させ、腸の蠕動を高める薬)が第一選択となります。これらで不十分な場合には刺激性下剤(腸壁内神経叢に作用して大腸の蠕動を促す薬)を短期的に使用し、高齢者や寝たきりの人には浣腸や坐薬を用いることもあります。刺激性下剤は長期間使い続けると大腸の弛緩がさらに悪化するため、なるべく常用はせず一時的な使用にとどめるようにします。

 b.痙攣性便秘‥‥‥過敏性腸症候群では、弛緩性便秘と異なり内臓知覚が過敏な傾向にあるため、刺激性下剤は腹痛が起こることがあり避けるべきです。基本は塩類下剤などの浸透圧性下剤と過敏性腸症候群治療薬となります。

 c.直腸性便秘‥‥‥こちらも基本は塩類下剤で、他に坐薬や浣腸、刺激性下剤を使います。

【参考文献】前回に同じ.

 

普通に内科のお医者さんにかかると、だいたい上記のような処方になることでしょう。これらで改善されない場合、漢方薬を使用することもあります。

当院は鍼灸院ですので、現代医学的な病態把握もしつつ、治療においては東洋医学的な見立てに基づいて施術をします。次回から東洋医学における便秘の分類を解説いたしますup