2012年06月19日

中医学の基礎知識・2

今回は五行について解説いたしますpaper

五行の「五」とは「木・火・土・金・水」という5種の物質で、「行」は運動のことです。世界のあらゆる事物・事象が、この5種の基本物質の間で生じる運動と変化によって生成されるという考え方が五行学説です。これらの基本物質には、各々特有の性質があります。

中医学では、この五行を人体の臓腑器官に当てはめ、肝・心・脾・肺・腎をそれぞれ木・火・土・金・水に配当して「五臓」と呼んでいます。

また、五行における運動と変化の基本的な法則を「相生・相克」といいます。「相生」は相互助長・相互促進の作用で、木生火(木は火を生じる)、火生土、土生金、金生水、水生木という関係になります。五臓に当てはめると、肝生心、心生脾、脾生肺、肺生腎、腎生肝です。「相克」は相互抑制・相互制約の作用で、木克土(木は土を克する)、土克水、水克火、火克金、金克木という関係になります。五臓に当てはめると、肝克脾、脾克腎、腎克心、心克肺、肺克肝です。

このような相生・相克の作用によって、五行・五臓はお互いに補い合ったり、過剰を抑えたりしてバランスを保っています。そのバランスが崩れると、病的な状態が起こってきます。

【参考文献】

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006 

 

前回と今回の内容を踏まえて、次回に「肝」の解説をいたしますclub