2012年07月06日

食養生の基礎知識

今日も大阪ではよく雨が降っていますrain 前回ご説明した「暑湿」の状態ですが、このような天候の変化による体へのダメージをなるべく小さくするために、養生が必要となりますdiamond

中医学の養生法には、運動や食事、日常生活の過ごし方など様々な種類がありますが、いずれも「人・時・地」の三要素に基づいて方針が決まります。「人」とは個々人の年齢や性別、体質等であり、「時」は四季、「地」はその土地の地理的特徴や気候条件を指します。

今回は「人」と「地」には少々目をつぶって、「時」すなわち夏という季節に基づいた養生、なかでも実行しやすい飲食の養生についてご紹介したいと思います。……が、やはりその前に基礎知識を押さえておかねばなりません。今日はまず基本のみですcoldsweats01

 

食材にも寒熱の性質があり、食べると体が冷えたり温まったりします。熱・温・(平・)涼・寒の「四性(しせい)」(平を入れた場合は「五性」)と呼ばれます。

またここで、五行(6月19日付ブログ参照)も関わってきます。飲食物の味覚を表す「五味」というものがあり、木・火・土・金・水に当てはめると、順に酸・苦・甘・辛・鹹(かん)です。酸はすっぱい、苦はにがい、甘はあまい、辛はからい、鹹はしおからい味です。五行に配当されるということは、自動的に五臓にも対応します(酸=肝、苦=心、甘=脾、辛=肺、鹹=腎)。これとは別に、五味にはそれぞれ異なった作用があります。

①酸‥‥‥汗や大小便などの排泄物を必要以上に排泄させない収斂作用

②苦‥‥‥体の余分な水分を排泄する燥湿作用

③甘‥‥‥痛みを緩和する作用、滋養強壮作用

④辛‥‥‥気血の巡りを良くする行気・行血作用、発汗作用

⑤鹹‥‥‥しこりやイボなど堅いものを軟らかくする軟堅作用、便秘を解消する潤下作用

以上の四性・五味は、基本的に漢方薬(中薬)の処方と同じ考え方です。これらは適量であれば望ましい効果を発揮しますが、過ぎたるはなお及ばざるがごとし、取りすぎると副作用が現れます。何事もバランスが大切です。

【参考文献】

 高橋楊子・上馬場和夫(著):体質・症状・年齢別 東洋医学で食養生,世界文化社,2005

 梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006  

 

この内容を踏まえて次回、夏に適した飲食物をご紹介しますbanana