2012年07月09日

夏の食養生

昨日は風がさわやかで涼しい一日でしたが、今日は暑くなりましたねsun 前回の内容を踏まえて、夏バテ防止の食養生法をご紹介します。

夏の食養生の原則は、「暑・湿を取り除く」ことと、「のどの渇きや脱水状態を止める」ことです。「湿」と「渇」では矛盾しているように見えますが、前々回のブログにある便秘と下痢の例と同様、暑と湿それぞれの強さによります。また湿邪によって下痢が起これば脱水状態になることもありますし、また消化・吸収機能の低下により水分が体の中で偏在すると、おなかに水が溜まっているのに口は渇く、ということもあります。

暑ければ冷たい物を取ればいいと考えがちですが、少量なら問題なくても、過剰に取れば胃腸の機能を低下させ夏バテ・夏カゼを引き起こします(体脂肪も増えます!)。そこで、前回の「四性」のうち涼・寒の性質の物が登場です。基本的に夏に旬を迎える物、南国で取れる物は涼性・寒性であることが多いです。また平性(温熱でも寒涼でもない)であっても、熱を冷ます作用をもつ物もあります。

「五味」では酸味・甘味・苦味を中心に、鹹味も適宜足すのがよいでしょう。辛味は、冷房や冷飲食などで体が冷えたとき以外あまり必要ないので、取りすぎに気をつけましょう。以下に夏に適した代表的な食材を挙げますが、これら以外はダメというわけではなく、またたくさん食べれば食べるほどよいというわけでもありません。当然ながら温かい状態か冷たい状態か、調理法によっても若干性質が変わってきますので、バランスを考えて上手に取り入れましょう。

 

〔夏に食べるとよい物〕 品目(五性/五味) ※五性・五味には文献により多少の異同があります。

ぱキキュウリ(涼・寒/甘)、トウガン(微寒/甘)、ニガウリ(寒/苦・微甘)、レンコン(涼・寒/甘)、ナス(寒・涼/甘)、トマト(微寒/甘・酸)、チンゲンサイ(涼/甘・苦・辛)、タケノコ(寒/甘・微苦)、ソバ(涼/甘)、豆腐(平・涼/甘)、緑豆(涼/甘)、スイカ(寒/甘)、バナナ(寒/甘)、メロン(寒/甘)、オレンジ(寒/甘・酸)、ビワ(平・微涼/甘・酸)、マンゴー(涼/甘・酸)、パイナップル(平/甘・微酸)、スモモ(平/甘・酸)、ウナギ(平・微寒/甘)、ハモ(寒/甘)、アワビ(平/鹹)、アサリ(微寒/鹹)、コンブ(寒/鹹)ウナギ、ハモ、アサリ、 ウナギ、ハモ、アサリ、 

 

なお、主食となる米や小麦、イモ類などは、どの季節でも適しています。飲み物は、緑茶(寒/苦・甘)やウーロン茶(涼・平/苦・甘)が夏にはお勧めです。日常よく食べる食材なら、問題になるような物はほとんどありませんが、夏はどうしても消化機能が低下しがちですので、脂身の多い肉や揚げ物、バターやクリームたっぶりの洋菓子など「こってり」メニューは控えめにしましょうcake

 

【参考文献】

 梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005 

 夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食療大全,上海科学技術出版社,2006