2013年06月23日

HLA型について

前回のブログで、「医療用iPS細胞ストック構築」に関連してHLA型のことを軽く述べましたが、いま一度詳しく解説いたしますpencil

HLAHuman Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)は、白血球の血液型として発見されたものですが、HLAは白血球だけに存在するのではなく、ほぼすべての細胞や体液に分布し、他人と自分の細胞を区別する働きがあります。ヒトの免疫に関わる重要な分子なのです。

iPS細胞を用いて治療する場合、患者さん本人からiPS細胞を作製(自家)すると、倫理的問題も拒絶反応も回避できますが、費用(設備を占有する)と時間(数ヵ月)がかかってしまいます。これでは、事故など治療を急ぐケースでは間に合いません。そこで、あらかじめ拒絶反応の起こりにくいiPS細胞を他人から作製(他家)しておけば、速やかに治療を開始することができるのです。

HLA型の組み合わせは数万種類以上存在しますが、拒絶反応が起きにくいHLA型の組み合わせがあり、その組み合わせを持つ人の頻度は約2~4%とされています。この該当者を探す手段として、血小板成分献血に協力した人のHLA検査情報を利用するわけです。もちろん同意しない人は、その旨を伝えれば情報が利用されることはありません。

多くの日本人に対して拒絶反応が起きにくいHLA型の組み合わせのiPS細胞を、約50種類ストックすれば、日本人全体の約7割以上の患者さんの治療が可能になります。そのため、拒絶反応が起きにくいHLA型を持つ提供者(献血者)に対して、書面で「ご案内」が届くことになったそうです。

確率がかなり少ないので、自分が該当する可能性は低いですが、もし協力できるのであれば積極的に応じたいと思いますribbon

【参考資料】

 日本赤十字社リーフレット

 〔WEB〕厚生労働省:医療用iPS細胞ストック構築に対する日本赤十字社の協力について

      山中伸弥:iPS細胞ストック構築の概要について