健康

世界禁煙デー

本日5月31日は、WHO(世界保健機関)が定めた「世界禁煙デー」でしたnosmoking

ちょうど2週間前の17日は「世界高血圧デー」でしたが、この高血圧と喫煙が、健康寿命を縮める二大要因だそうです。

現在では、喫煙をやめられない人はニコチン依存症であるとして、健康保険で薬による禁煙治療ができるようになりました。したがって以前に比べれば禁煙のハードルは下がったといえますが、それでも成功率は5~6割とのことです。

鍼灸にも禁煙のツボがありますので、補助的に、あるいは単独でも試してみる価値はあるかもしれませんban

便秘の分類と治療法(東洋医学編)

前回の東洋医学(中医学)の基礎知識を踏まえ、便秘の分類をします。

中医学における便秘は、以下の①~④の4種類に分けられます。③はさらに2型あります。また①②は「実」の便秘、③④は「虚」の便秘です。

①熱秘(ねつひ、ねっぴ)‥‥‥胃腸内に熱がこもり、大便が乾燥して出にくくなった状態です。病気で熱が出た時や、もともと体温が高くなりがちの人、また辛い物や熱い物の過食により、津液が損傷することで起こります。中医学での治療方針は、熱を冷まし、腸を潤すことです。

②気秘(きひ)‥‥‥気の働きが滞ったために、胃腸の機能が低下して便が出にくくなった状態です。精神的なストレスや、長時間座っていてあまり動かないことなどで、気が正常に働かず消化・排泄が順調に行われないために起こります。中医学での治療方針は、気の鬱滞を取り除き、胃腸機能を整えることです。 

③虚秘(きょひ)‥‥‥身体が虚弱で、腸管が機能低下して便が出にくくなった状態です。虚しているものにより、さらに2種類に分けられます。

 a.気虚秘(ききょひ)‥‥‥気が不足し、消化・吸収・排泄の機能が低下した状態です。過労や飲食の不摂生、加齢、産後や病後、また慢性病などの理由により、気の生成が減って働きも弱り、便を出す力が衰えるために起こります。中医学での治療方針は、 気を補い、胃腸機能を強化することです。

 b.血虚秘(けっきょひ)‥‥‥血液の不足により大腸が潤いを失い、便が乾燥して固まった状態です。加齢や病後で体が弱ったり、産後に血液不足となることによって、大腸を十分に潤すことができなくなるために起こります。中医学での治療方針は、血を補い、腸を潤すことです。

 ※前回ご説明したように、気と血は互いに密接な関わりを持つので、a.b.両方が合併した「気血両虚」という状態も臨床上よく見られます。

④冷秘(れいひ)‥‥‥気の不足が進行して体温を維持する機能が衰え、身体の内部に冷えが凝り固まって便が出にくくなった状態です。平素から冷え症の人、また加齢により、気の温める作用が低下して腸管も冷え、便を出す力が弱るために起こります。中医学での治療方針は、内臓を温め、腸の動きを良くすることです。

【参考文献】前回に同じ.

 社団法人東洋療法学校協会(編),教科書執筆小委員会(著):東洋医学臨床論〈はりきゅう編〉,医道の日本社,1993

 

以上の分類と治療方針は、中薬(日本でいう漢方)と鍼灸共通です。中薬ではそれぞれに効用のある生薬を組み合わせて処方するのに対し、鍼灸では該当する経絡(けいらく、五臓六腑に対応した気血の通り道)やツボに、鍼やお灸をして治療します。

4回連続で「便秘」について東西双方の観点から、ごく大雑把ではありますが解説させていただきました。少しでも東洋医学について興味を持っていただければ幸いですhappy01

東洋医学の基礎知識

今回から東洋医学の考え方を紹介しますが、この「東洋」の中には日本も中国も朝鮮(韓国)も含まれます。当院では中国の医学=「中医学」を基本とした診断・治療をしていますので、中医学的な症候分類をします。

中医学の理論体系はやや複雑で、知識の全くない状態から基礎を身につけるには、早くても普通1~2年はかかりますので、ここではごく大まかな説明にとどめます。

便秘の分類をする前に、まずは最低限の基本的要素を解説させていただきます。

中医学の診断では、「虚実」「寒熱」というものを重視します。

◎虚実‥‥‥体力が不足して生理機能が衰えた状態が「虚」、体力は正常でも本来あるべきでないものが(過剰に)存在する状態が「実」です。

◎寒熱‥‥‥読んで字のごとく、体に自覚的・他覚的に冷えのある状態が「寒」、熱やのぼせのある状態が「熱」です。

また、皆さんも「気血」「気血水」という言葉を見聞きしたことがあると思いますが、中医学ではこれも基本となる要素です。ただ「気血水」というのは日本漢方で使う用語で、中医学では「気血津液(しんえき)」といいます。(ちなみに「漢方薬」とは日本で独自に発展したもので、中国では「中薬」といいます。)これらは人体を構成し、生命活動を維持する基本的物質です。

◎気‥‥‥すべての物質の基本となるものですが、働きはあっても肉眼で見えない物質です。臓腑の生理機能を指すこともあります。血液や栄養物質を運んだり、新陳代謝を促したり、体温を維持したり、排泄機能を調整したりと、さまざまな役割を担っています。

◎血‥‥‥現代医学でいう血液とほぼ同じで、脈管の中を巡って全身の組織・器官に栄養を与える物質です。気と相互に対立・依存する関係にあり、それぞれの運行や生成に、密接に関わっています。

◎津液‥‥‥人体内のすべての正常な水液(血液以外の液体)のことです。たとえば涙や唾液、鼻水、胃液などがこれに当たり、汗や尿も津液が変化したものです。機能としては、体の各部を潤し養います。

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006

以上の物質が、それぞれ「虚」=足りない状態であったり、「実」=過剰な状態あるいは滞ったり、また冷えたり熱を持ったりしていると、疾病が生じてきます。これらを踏まえて、次回に便秘の分類をご紹介いたします。

便秘の治療法(現代医学編)

前回ご紹介したように、便秘にはいろいろ種類があり、それに応じて対処も変わりますhospital

 

②器質性便秘と④症候性便秘は、まず原因となっている疾患の治療を行います。

③薬剤性便秘は、可能であればその薬を中止しますが、中止できない場合は浸透圧性下剤(高い浸透圧によって大腸に水分を引き込む薬。酸化マグネシウムなど)を併用して治療します。

①機能性便秘の場合、a.~c.の分類に応じた治療を行いますが、いずれも生活習慣を背景に起こっていることが多いため、まず日常生活の見直しが必要です。具体的には、規則的な食生活、食物繊維や水分をしっかりとる、腹筋運動や腹式呼吸など腹圧を高めるトレーニングを行う、などです。特に「胃・結腸反射」(胃に食べ物が入ると、反射的に大腸が収縮して便を直腸に送り、便意を感じる現象)は通常、朝に強く起こるので、朝食は必ずとり、便意を抑えずトイレに入る時間的余裕を持ちましょう。それでも便秘が解消しなければ、薬物治療を追加することになります。

 a.弛緩性便秘‥‥‥浸透圧性下剤(塩類下剤)や膨張性下剤(多量の水とともに服用することにより便を膨張させ、腸の蠕動を高める薬)が第一選択となります。これらで不十分な場合には刺激性下剤(腸壁内神経叢に作用して大腸の蠕動を促す薬)を短期的に使用し、高齢者や寝たきりの人には浣腸や坐薬を用いることもあります。刺激性下剤は長期間使い続けると大腸の弛緩がさらに悪化するため、なるべく常用はせず一時的な使用にとどめるようにします。

 b.痙攣性便秘‥‥‥過敏性腸症候群では、弛緩性便秘と異なり内臓知覚が過敏な傾向にあるため、刺激性下剤は腹痛が起こることがあり避けるべきです。基本は塩類下剤などの浸透圧性下剤と過敏性腸症候群治療薬となります。

 c.直腸性便秘‥‥‥こちらも基本は塩類下剤で、他に坐薬や浣腸、刺激性下剤を使います。

【参考文献】前回に同じ.

 

普通に内科のお医者さんにかかると、だいたい上記のような処方になることでしょう。これらで改善されない場合、漢方薬を使用することもあります。

当院は鍼灸院ですので、現代医学的な病態把握もしつつ、治療においては東洋医学的な見立てに基づいて施術をします。次回から東洋医学における便秘の分類を解説いたしますup

便秘の分類(現代医学編)

便秘には急性のものと慢性のものとがありますが、ここでは慢性のものについて解説いたしますpen

 

慢性の便秘は大きく分けると、①機能性便秘、②器質性便秘、③薬剤性便秘、④症候性便秘の4種類があります。①はさらに3種類に分けられます。

①機能性便秘‥‥‥腸の働きの異常による便秘です。

 a.弛緩性便秘‥‥‥高齢者や長期間寝たきりの人、食事量の少ない人に多く見られ、腸管の緊張や運動の低下によって起こります。大腸の中で便の通過する時間が長くなり、水分がかなり吸収され硬い便となります。

‥‥‥‥‥‥ ‥‥  ‥‥‥‥‥‥ ‥‥  ‥‥ ‥‥こ高 b.痙攣(けいれん)性便秘‥‥‥若い人や神経症傾向のある人に多く、腸管の緊張が亢進して便の通りが悪くなっているもので、「過敏性腸症候群(IBS)」の場合に見られます。上記a.と同様に水分の吸収が増え、最初は小さく硬い便(兎糞状)が出て、その後軟便となります。

 c.直腸性便秘‥‥‥便意を抑える習慣のある人や、浣腸・下剤の乱用により直腸粘膜の機能が鈍くなっている人に見られ、直腸に便がきても排便反射が起こらず、うまく排出することができない状態です。

②器質性便秘‥‥‥腸の構造の異常や、腸周囲の器官の異常があって起こる便秘です。原因としては、先天性の異常のある場合と後天性の場合とがあり、後者には腸管内のがんや炎症、腸管外の腫瘍(たとえば子宮筋腫や卵巣のう腫などの婦人科疾患)、手術後の癒着などが挙げられます。いずれにしても、腸管が塞がったり狭くなったりした状態です。

③薬剤性便秘‥‥‥腸の運動を抑える薬剤(抗うつ薬、抗てんかん薬、パーキンソン病治療薬、鎮痛薬、制酸薬など多種)の使用により起こる便秘です。

④症候性便秘‥‥‥特定の病気の一症状として起こる便秘です。原因となる疾患としては、脳血管障害、パーキンソン病 、糖尿病、甲状腺機能低下症、膠原病などがあります。これらの中には、治療薬自体によっても便秘が引き起こされたり、また病気による日常生活上の活動低下によって便秘が引き起こされるというような、複数の要因が重なる場合もあります。

【参考文献】

   渡邉誠太郎,中島淳:私はこう治療する 便秘.診断と治療 vol.98-no.6:1028-1030,2010

 山形和史,佐藤研,福田眞作:症状別診療ガイド 便秘のここが知りたい! 第2回 高齢者の便秘.日本医事新報 No.4595:40-43,2012.5.19

 

次回は便秘の種類別治療法をご紹介しますclover

便秘とは?

日常の臨床でよくみられる症状の一つに「便秘」があります。私も時々悩まされますsweat01

しかし便秘とは、厳密にはどんな状態をいうのでしょうか?

実は現代医学においても、はっきりした定義はありません。排便習慣には個人差が大きいからです。

回数的には、必ずしも毎日の便通にこだわる必要はなく、2~3日に1回出ていれば問題ありません。

けれども、4日も5日も出ない、便が硬い(理想はバナナ状といわれています)、残便感があってスッキリしない、というような場合は便秘といえます。

便秘にはいくつか種類があり、対処法も少しずつ違いますので、次回に紹介いたします。

頭痛

今日は朝から頭が重く、少々痛みます。雨が時折ポツポツと降って、天気もすっきりしませんね。

「低気圧頭痛」というものがあり、特に普段から頭痛持ち(緊張型頭痛でも偏頭痛でも)の人は、低気圧が近づいている時に悪化することが多いそうですbearing

私はさほど頭痛持ちというわけではありませんが、おそらく寝不足が祟ったものかと。。。やはり睡眠は大事ですね。

こんな時こそ、効きそうなツボを自分の体で実験しますsearch

美容灸

昨夜のNHK Eテレで、美容に効くお灸とツボの番組がありました。tv

基本的な考え方は、当院で行っている美容鍼と同様でしたが、初心者の方にもわかりやすく紹介されていました。

お灸は手軽にできて効果が高く、適切に行えば副作用もほとんどないので、今よりもっと普及するといいな、と思います。

そのためには、鍼灸師もどんどんPR活動をせねば!up

世界高血圧デー

今日は「世界高血圧デー」だそうです。

減塩や禁煙、運動などはもちろん大切ですが、鍼灸も自律神経系への作用で血圧調整に力を発揮します。

血圧は高すぎても低すぎてもしんどいですね。

大きな病気に発展する前の、予防や早期治療が肝心です。

紫外線対策

今日はよく晴れていますね。すでに紫外線量は真夏並みですから、将来のシミや皮膚ガン予防のために、今からしっかりとした対策が必要です。

日焼け止めは首すじや鎖骨あたりまできちんと塗って、顔と首の肌色が違うなどという悲劇(!?)を防ぎましょう。

また、目から入る紫外線によっても皮膚のメラニン生成が促進されますので、サングラスやUVカット仕様のコンタクトレンズで目の保護もお忘れなく。