口腔アレルギー症候群(OAS)

前々回のブログ「西瓜の効能」で果物のアレルギーがあると書きましたが、今回はそれについて少し詳しく解説いたしますcherry

 

この病態は「口腔アレルギー症候群」(OAS:oral allergy syndrome)といい、原因食物が口腔粘膜に接触することでアレルギー反応が引き起こされるもので、花粉症に合併します。主な症状は唇や舌、のどなどの痒みや腫れ、ピリピリ感です。重症になると嘔吐や下痢、じんましん、アナフィラキシーなどの全身症状を伴うこともあります。食物アレルギーの一種ですが、主に乳幼児や小児で発症する鶏卵や乳製品、小麦などのアレルギーとはタイプが異なります。

OASは、主に成人の花粉症患者の一部に発症し、原因となる花粉のアレルゲンとよく似た構造のアレルゲンをもった食物(果物・野菜・ナッツ類)にも反応してしまい、食物アレルギーを起こすのです。ハンノキ、シラカンバ(ともにカバノキ科)花粉症での罹患率が最も高く40~50%、スギ花粉症でも10%と報告されており、ほかにカモガヤ(イネ科)、ブタクサ、ヨモギ(ともにキク科)花粉症やラテックス(ゴム)アレルギーでも発症します。

原因となる食物は、リンゴやサクランボ、桃、梨などバラ科の植物、メロンやスイカ、キュウリなどウリ科の植物、小麦やトウモロコシなどイネ科の植物があります。ヘーゼルナッツ(カバノキ科)やピーナッツ(マメ科)、アーモンド(バラ科)などのナッツ類やキウイフルーツ(マタタビ科)などもよく原因となります。シラカンバ花粉症では主にバラ科、ブタクサ花粉症では主にウリ科のものでアレルギー反応が出やすいですが、それぞれで共通する食物もあり、はっきりとは分けられません。症状の出方にも個人差があります。

なおOASに根治法はなく、花粉症を抑える抗ヒスタミン剤による対症療法以外は、原因となる食物を避けるしかありません。症状が出ても「好きだから」と食べ続けると、症状が悪化したり、アレルギーを起こす食物の種類が増えたりする可能性もあります。

【参考文献】

 福冨友馬:成人の食物アレルギー――発症の本当の原因は食物とは限らない.日本医事新報,2012.2.4

 高山敦子:体とこころの通信簿・口腔アレルギー.朝日新聞(夕刊),2012.12.17

〔WEB〕

 ファディア株式会社(Phadia),佐橋紀男(監修):OAS口腔アレルギー症候群 関連する原因花粉の植生と食物

 CRCグループ:よくある検査のご質問・口腔アレルギー症候群(OAS)の検査は何をしますか?

 一般社団法人 北海道薬剤師会:口腔アレルギー(OAS)

 

私自身は、自覚的には花粉症ではないと思っていましたが、上記のような症状にピッタリ当てはまっているので、どうやら花粉症のようですapple(しかも原因となる食物が多種にわたるので、複数の種類の花粉症かと……)