2012年10月

柿の効能

今日は近畿地方に「木枯らし1号」が吹いたそうですmaple これから冬型の気圧配置の影響で、しばらく平年より寒い日が続きそうですので、皆様かぜにご注意をdanger

さて昨日は、今年初めて柿を頂きましたnote よく熟して外側が一部ジャムのように軟らかくなっていて、あっという間に1個ペロリと食べてしまいましたdelicious

今月20日付のブログで秋に食べるとよい物をご紹介しましたが、この中に柿も入っています。中医学的にどんな効能があるのか調べてみましたbook

 

〔柿〕

性味は寒性、甘味・渋味。渋味は収斂(しゅうれん)の働きがあり「固める」作用があるため、便秘や血行不良の人には不向きです。

効能は、潤肺生津(肺を潤し津液を生じさせる=咳止め)、清熱止血(熱を冷まし出血を止める)、渋腸健脾(腸を渋らせ脾を健やかにする=下痢止め)、解酒毒(アルコールの分解を促し二日酔いを防止する、ただし樹上で熟した物のみ)。

主な適応症は、肺熱による咳嗽、脾虚による下痢、喀血(肺や気管支・気管よりの出血)、血便・血尿、高血圧、痔疾など。

栄養学的には糖質(滋養作用)、ビタミンC(抗酸化・抗老化・降圧作用や抵抗力を高める作用)、タンニン(渋味成分、抗酸化・抗老化・降圧作用)、ヨウ素(甲状腺機能低下症に適応)などが豊富です。

なお寒性であるため、冷え症の人やかぜで寒気がする時、寒冷による下痢の時は控えましょう。またタンニンは酸・鉄・カルシウムと結合して沈殿しやすいので、胃酸の多い空腹時は避け、鉄分・カルシウムの多い食材と同時に食べてはいけません。サツマイモなどのイモ類も胃酸を生じやすいので、一緒に食べることは避けてください。ヨウ素を多く含むので、甲状腺機能亢進症の人も禁忌です。

ちなみに干し柿にすると寒性が和らぎ、涼性~平性になります。

 

【参考文献】

 梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005

 夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食療大全,上海科学技術出版社,2006  

血液検査

先日、2年半ぶりに血液検査を受けましたhospital クリニックに勤めていたころは定期的に健診を受けられたのですが、開業してからは自主的に病院へ行かないといけないので、しばらく間が空いてしまいました。

結果は、アレルギーに関係するIgE(RIST)が少し高かった程度で、他の一般的な検査項目はすべて基準値内でしたgood

何もないだろうとは思いつつ、自覚症状がはっきり出ない病気もありますので(検査数値に出ないものもありますが…)、こうして調べてもらうと一安心ですjapanesetea

節電トライアル賞品到着

今日は二十四節気の霜降。日中は汗ばむほどの陽気だったここ数日と打って変わり、昼過ぎまで冷たい雨となりましたねrain 今晩から明日の朝にかけて、ぐっと冷えるそうなので、皆さま暖かくしてお休みくださいnight

さて昨日、夏の間に申し込んでいた関西電力の「節電トライアル」の賞品(QUOカード)が届きました♪

コンビニでの買い物に使えて便利、暑さに耐えた甲斐がありましたmoneybag

秋の食養生

今日は秋の土用入りですmaple 8月6日付ブログでも書きましたが、立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前18日間が土用ですので、今日から18日後には立冬……早いですね~dash

さて、夏の食養生(7月9日付)と同様、秋の食養生もご紹介したいと思います。中医学では秋の気候の特徴は「燥」、つまり乾燥とされていますが、日本の場合は「秋の長雨」(秋雨前線)や台風シーズンとも重なるので、大陸とはやや異なります。しかしながら、夏に比べればぐっと湿度が下がっていますので、やはり乾燥対策は必要です。

秋は五行では、対応する五臓は(10月2日付)ですので、体の中でも特に呼吸器や皮膚への乾燥対策が中心となります。そのため秋の食養生の原則は「肺を滋養し、津液を増やして体を潤す」ことです。代表的な食物を以下に挙げます。 

 

〔秋に食べるとよい物〕 品目(五性/五味)  ※五性・五味には文献により多少の異同があります。

ピーナツ(平/甘)、ギンナン(平/甘・苦・渋)、松の実(微温/甘)、ヤマノイモ(平/甘)、サツマイモ(平/甘)、ニンジン(微温・平/甘・苦)、ダイコン(涼・平/辛〈生〉・甘〈加熱〉)、ホウレンソウ(涼/甘)、ハクサイ(涼・平/甘)、ノリ(寒/甘・鹹)、アンズ(温/酸・甘)、カリン(平/酸・渋)、ブドウ(平/甘・酸)、ミカン(平/甘・酸)、ユズ(寒/甘・酸)、イチジク(平/甘)、レモン(平/酸・甘)、ビワ(平・微涼/甘・酸)、ナシ(涼・寒/甘・微酸)、柿(寒/甘・渋)

特にピーナツや松の実、アンズ、ナシなどは空咳に効きます。果物はのどの渇きを潤す作用があり、基本的に旬のものを選ぶとよいですが、寒性のものは食べすぎると体を冷やしますので、適度に取りましょうapple

 

【参考文献】

 梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005

 夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食療大全,上海科学技術出版社,2006 

RSウイルス

このところ「RSウイルス(respiratory syncytial virus)感染症」が流行しています。これは乳児がかかると肺炎や気管支炎など重症化しやすく、インフルエンザ並みに警戒を要する感染症です。今年は例年より早く流行が始まっており、今月7日までの1週間の患者数が、統計を取り始めた平成15年以降で最悪の多さで、去年の同時期の2.5倍にもなるそうです。

RSウイルス感染症の流行は例年12月ごろにピークとなるので、今後もさらに広がっていくと思われます。症状は発熱、鼻水、せきなど、かぜやインフルエンザとあまり変わりませんが、治療薬がなく対症療法が中心となるため、何より予防が肝心です。

RSウイルスは、2歳までにほぼすべての乳幼児が感染するありふれた呼吸器感染症です。成長すると軽い鼻かぜ程度で済みますが、0歳児や基礎疾患がある子供が感染すると重症化する恐れがあります。とくに初感染では、肺炎や脳炎を起こすこともあります。

家庭に乳幼児がいる人や、接する機会の多い人は、かぜの症状があれば手洗いを徹底し、マスクの着用も忘れずにしましょう。大阪府は現在、東京都、福岡県に続いて3番目に患者数が 多く、他人事と思わないことが大切です。

実は私自身も生後1ヵ月のころ(12月)、RSウイルスが原因と思しき肺炎を起こし、一時は命も危ぶまれたそうです。助かったことに感謝し、今後は自分が感染源にならないよう心しますhospital

ブルーライト

__.JPG……ヨコハマkaraokeという歌謡曲がありましたが、それではございません。メガネのお話ですeyeglass

ふだんコンタクトレンズを着けているうえ、パソコンも毎日使っているため、どうしても目が疲れます。ツボ押しも良いのですが、未然に少しでも予防できないかと思い、このほど「PCメガネ」を購入しましたpc

このところ徐々に普及してきているので、ご存じの方も多いと思いますが、これはパソコンやスマートフォンなどのLED液晶画面から出る「ブルーライト(青色光)」を遮断して、目の疲れを軽減してくれるものです。

このブルーライトとは、可視光線の中で最も波長が短く(=エネルギーが高く)紫外線に近い強さの光で、眼球の角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで届くそうです。また太陽光にも含まれていることから、夜にブルーライトを多く浴びてしまうと体内時計が狂い、不眠の原因にもなります。夜遅くにテレビを見たりパソコンを使ったりすると、寝つきが悪くなるのはこのためです。

パソコン使用に伴う疲れ目や肩こり、頭痛といった症状は、室内の照明や画面を見る角度、姿勢など他の要因も絡み合いますが、まずこのPCメガネでどこまで改善できるか、自分の体で実験してみますeye

今日は患者さん

さっきは久々の雷雨でしたthunderrain 皆さんは濡れませんでしたか?

今日はかかりつけの鍼灸院で治療を受けてきました。鍼灸の学生時代からお世話になっている先生で、定期的に診てもらっています。

これは体調管理のためであるとともに、自分が患者の立場になることによって、ふだん当院に来てくださる患者さんの気持ちを、改めて想像するためでもあります。どういう風にしてもらうと嬉しく感じるか、逆にどういうことはしてほしくないか……。

もちろん性格や感じ方、鍼灸治療に期待するもの等は人それぞれですので、すべての方のすべての思いを知ることはできませんが、施術する側の立場にのみい続けると、つい自分の都合だけで仕事を進めてしまうことにもなりかねません。少なくとも自分が嫌だと思うことはしないよう、言動に気を付けていますthink

秋の花粉症

今日は二十四節気の寒露、野草に冷たい露が宿るころです(今年は体育の日でもありますが、個人的には特に縁がありません…shoe)。朝晩肌寒く感じる日も増えてきて、かぜ気味の人も出てきていることでしょう。けれども、中には花粉症である可能性もあります。

夏から秋にかけて花粉症の原因となるのは、「草本(そうほん)花粉」といわれるイネ科(ススキ・カモガヤ・オオアワガエリなど)やキク科(ヨモギ・ブタクサ・セイタカアワダチソウ・コスモスなど)、クワ科(カナムグラ)、イラクサ科(イラクサ)などの花粉です。これらの植物は道端や空き地、公園など身近な場所に生えていて、日本全国に分布しています。

花粉症の主な症状は、水っぽい鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどで、特に晴れた日にひどくなります。かぜであれば鼻水が黄色で粘っこく、比較的高い熱が出たり、食欲が落ちたりし、目のかゆみや天候による症状の変化はありません。

春の花粉症と同様、秋の場合も一度発症すると毎年悩まされることになりますが、春のほうの原因となるスギやヒノキと違い、秋の草本花粉は飛散する範囲が数十メートルと狭いので、河川敷や雑草の多い場所をなるべく避け、マスクやメガネなどで防御しましょう。もともと春の花粉症や気管支喘息などのアレルギー症状がある人は、特に注意が必要です。

10月は乳がん月間

10月は乳がんの早期発見、早期治療を啓発するための「乳がん月間」で、ピンクリボン運動が近年よく知られてきましたribbon NPO法人J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)のホームページによると、乳がんは1996年より日本人女性の悪性腫瘍罹患率で第1位となり、2004年には日本女性の16人に1人が乳がんにかかるという発生率となっています。

乳がんは進行の遅いがんで、早期に発見・治療すればほとんどが治るがんであるにもかかわらず、日本では乳がんによる死亡者が増え続けています。これはアメリカやイギリスなど他の先進国に比べて、定期的に検診を受ける人がまだまだ少ないためです。20歳を過ぎたら1、2年に一度は必ず検診を受け、月1回のセルフチェックも忘れずにしましょう。

私自身も数年前、自分で左胸にしこりを見つけ、乳腺外科を受診しました。検査の結果、「乳腺線維腺腫」という良性の腫瘍で、将来がんになるようなものではありませんでしたが、これとは別にがんができた場合に見落とす危険性があるということで、以後1年に1回、確認のため定期検診を受けています。

なお少数ですが、男性でも乳がんになることがあります。乳がん発症者のうち1%程度が男性で、100人に1人と考えれば少ないとは言いきれません。若年でも発症する女性と違い、男性は60歳以上で発症するのが一般的で、しこりの部位も乳輪下に触れます。転移した場合はわきの下に触れることもあり、いずれにしても見つけ次第ただちに受診してください。

肺について

もう10月に入り、朝晩はめっきり秋の涼しさになりましたhorse 長引いた猛暑の疲れが出てくるこの頃、軽いかぜ引きさんもちらほら見受けられますeye

今回は、秋と同じく五行の金に属する五臓のについて、主な生理機能を解説いたします。これまでご紹介した肝、脾、腎と同様、現代医学的な臓腑と重なる部分もあれば、中医学独特の考え方も併せ持っています。

 

①気を主(つかさど)り、呼吸を司る‥‥‥「気を主る」とは、「呼吸の気を主る」と「一身の気を主る」という二つの面があります。「呼吸の気を主る」というのは、肺の呼吸運動を指しています。肺は自然界の清気を吸い込んで充満し、体内の濁気を吐き出すと空虚になり、呼吸を司る運動器官であり気体交換の場でもあります。「一身の気を主る」というのは、全身の気を維持し調節する機能を指しています。肺が吸入した清気は、脾胃が吸収した水穀の精微および腎精から生じた腎気と合して「宗気」となり、これが肺から全身に散布され、各臓腑器官の正常な生理活動が保たれます。

②宣発・粛降を主る‥‥‥「宣発」とは外向き・上向きに発散・散布することです。脾が転送した水穀の精微を肺が全身に散布し、皮毛(⑤参照)にも達して衛気(えき=体表を保護し外邪の侵入を防御する気)を行き渡らせることによって汗を体外に排出します。「粛降」とは清潔にする・下降するという意味です。肺は気道を清浄に保って清気を吸入し腎に下納(下ろして納める)させ、また散布されて代謝された津液である廃水を膀胱へ下行させます。

③水道を通調する‥‥‥「水道」とは水液代謝の経路、「通調」とは疏通・調節するという意味で、これは②の宣発・粛降作用による機能です。肺は宣発作用によって津液や水穀の精微を全身に散布するとともに、汗孔(汗の出口)の開閉を通じて汗の排泄を調節します。また肺は粛降作用により、代謝された水液を膀胱に送り、尿を生成して体外に排出します。このことから、「肺は水の上源たり」「肺は行水(こうすい)を主る」ともいわれます。

④百脈を朝(ちょう)し、治節(ちせつ)を主る‥‥‥「朝」は集めて送り出すという意味で、「百脈を朝す」とは全身の経脈がすべて肺に集まり、肺での吐故納新(古きを吐き新しきを納める、つまりガス交換による新陳代謝)を経て、宗気の栄養を得た血液が再び全身に循環することを示しています。「治節」とは管理・調節するという意味で、「治節を主る」とは肺の主な生理機能を包括的に説明したものです。肺が呼吸運動を調節することで呼吸が規則的に行われ、同時に全身の気機(昇降出入)が正常に行われて血液の循環も維持され、津液の代謝も管理・調節されます。このように全身の気・血・津液の生成や排泄は、すべて肺の治節作用と密接に関連しているのです。

⑤皮毛を主る‥‥‥「皮毛」は皮膚・汗腺・うぶ毛などの組織を含む全身の表(身体の最外層)のことで、汗を分泌し、皮膚を潤し、外邪の侵襲を防御する機能をもちます。皮毛は肺が輸送した水穀の精微から栄養を供給されています。また肺は呼吸を司り、皮膚の汗孔の開閉によって皮膚呼吸も調節するので、汗孔は「気門」とも呼ばれます。したがって肺気が不足すると、皮毛が乾燥してつやがなくなり、外邪を防御する機能(衛気)も低下してかぜを引きやすくなります。衛気が不足して汗孔の開閉機能が低下すると、自汗(運動や発熱などがないのに自然に汗が出る)や無汗(出るべき汗が出ない)が起こります。

⑥鼻に開竅する‥‥‥鼻は肺の門戸で、呼吸の通路であるほか、肺気が嗅覚を主りにおいを弁別することを示しています。外邪はしばしば鼻から肺に侵入して、肺気を失調させ、鼻閉・鼻汁・嗅覚減退・嗄声(させい=声がかれる)・呼吸困難などの症状が現れます。

⑦憂と悲を主る‥‥‥肺の生理機能は、憂悲(憂愁と悲傷)に密接な関係があります。この二つの情動はやや異なりますが、人体の生理活動に与える影響はほぼ同じです。過度の憂愁や悲傷は気を消耗させ、肺は気を主るために憂と悲は肺を傷つけやすいのです。また逆に肺気が虚していると、憂愁や悲傷が生じやすくなります。

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006

 

 秋に物悲しくなるのは、乾燥した空気のせいなのでしょうか。。。weep