腎の衰え
昨年末あたりから時々出るようになった腰痛が、このところ頻度も程度も少しずつ上がってきました
腰痛体操をしてもあまり効果がなく、寝れば(横になれば)改善することから、疲労による「虚」の腰痛と思われます 以前は動かしたほうが楽になる「実」の腰痛だったのに、だんだんと「虚」のほうがメインになってしまったようです(「虚実」については12年5月28日付ブログ参照)
中医学では「腰は腎の府たり」(府=居場所の意)といわれ、腰の症状の多くは五臓の「腎」と関係があります 解剖学的にも腎臓は腰椎の両側に位置していますね
腎の精気は加齢や慢性病、過労などによって損なわれるので、十分に思い当たることあり(腎については12年9月1日付ブログ参照)
なんだか最近、髪の量も減ってきたような気がする(13年3月26日付ブログ参照)し、年齢的な衰えを感じることが増えてきた今日このごろです
【参考文献】
高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006
落花生(ピーナッツ)の効能
今日は旧暦1月1日、春節(旧正月)です 先週に節分と立春があり、このところ日差しもだんだん強くなってきて、季節は着々と春に向かっていますね
さて今回は、豆まきでも使われる落花生を取り上げます 食べ始めるとついつい止まらなくなりそうな美味しさですが、中医学的にはどんな効能があるのでしょうか
〔落花生(ピーナッツ)〕
性味は平、甘。
効能は、潤肺止咳(肺を潤し咳を止める)、養血止血(血液を滋養し出血を止める)、健脾和胃(胃腸の機能を高める)、催乳(母乳の出を良くする)、利尿、降圧、通便(便秘を解消する)など。
適応症は、痰の少ない咳嗽(いわゆる空咳)、貧血、各種出血症、むくみ、産後の乳汁不足、乾燥タイプの便秘、高血圧症、高コレステロール血症など。
ピーナッツには良質な脂肪やたんぱく質、ビタミン、ミネラルなど豊富な栄養が含まれますが、とくに赤い薄皮には止血作用や貧血を改善する効能があります。女性や出血傾向のある人は薄皮ごと食べましょう。ただし食べ過ぎると消化不良を起こしやすいので、日ごろから下痢をしやすい人は控えめに、そうでない人も少量ずつ食べるようにしてください。また、のぼせ傾向の人には適していますが、冷え症の人には胃もたれしやすく不向きです。
【参考文献】
梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005
夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食養大全,上海科学技術出版社,2006
キンモクセイの香りでストレス解消
今の季節は、外を歩くとあちらこちらでキンモクセイの香りが楽しめますね ふわっと香った瞬間、気分が軽やかになります
昔からお茶やお酒(桂花陳酒)にも使われてきたキンモクセイ(金木犀)やギンモクセイ(銀木犀)の花は、「桂花」という立派な生薬です
〔桂花〕
性味は温、甘・辛。
効能は、温中散寒(脾胃を温め寒邪を消散させる)、暖胃止痛(胃を暖め痛みを緩和する)、化痰散瘀(痰を除去して瘀血を消散させる)。
適応症は、冷えからくる胃痛・腹痛、歯痛、口臭など。
【参考文献】
木村孟淳・御影雅幸・劉園英(共著):中国医学 医・薬学で漢方を学ぶ人のために,南江堂,2005
夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食養大全,上海科学技術出版社,2006
主な利用法は、お湯やお酒に浸して飲むことですが、その芳香をかぐだけでも肝の疏泄作用(12年6月22日付ブログ参照)を促し、ストレスを軽減させる働きがありますおこうほほう
この記事を書いているうちに、なんだか桂花陳酒を飲みたくなってきました
昆布の効能
昨日、今日と蒸し暑く、熱中症に注意が必要ですね
先日、実家から頂き物の昆布巻を分けてもらったのですが、昆布は暑くてむくみがちな時に適した食材です
〔昆布〕
性味は寒、咸(塩味)。
効能は、軟堅化痰(しこりを軟らかくして痰をきる)、清熱利水消腫(体にこもった熱をおさめ利尿してむくみを解消する)。
適応症は、甲状腺腫、むくみ、高血圧症、高脂血症、咳嗽など。
昆布は寒性のため、冷え症で胃腸の弱い人は控えめにしましょう。またヨードの含有量が最も多い食材ですので、甲状腺機能亢進症の方には禁忌です。血圧やコレステロール値の降下作用がありますが、食べ過ぎても甲状腺腫になることがありますので、何事もほどほどにしましょう。
【参考文献】
梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005
夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食養大全,上海科学技術出版社,2006
今日は夏至
このところすっかり日暮れが遅くなり、今日の夏至の前後1~2週間ほどが一年で最も日が長い時期です
夜明けも早く、それにつられて冬よりも早く目が覚めるようになりました 人間も自然の一部ですから、体のリズムが地球の運行と同調しているんですね
中医学の養生学では、それぞれの季節や気候風土に合った生活様式を勧めており、睡眠のとり方も四季ごとに変えるべきだと考えています
現代では一年を通して生活パターンが一定の人が多いですが、できる範囲で自然のリズムを意識したいものですね
豆腐の効能
朝晩も気温が上がり、冷奴の美味しい季節になってきましたね 昨年の今ごろにも本ブログで「枝豆の効能」と題して大豆を取り上げていますが、今回はその加工品である「豆腐」に着目してみたいと思います
〔豆腐〕
性味は平・涼、甘。
効能は、益気和中(気を補充して胃腸を整える)、生津潤燥(唾液などの分泌を促し臓腑を潤す)、清熱解毒(体内にこもった熱を収め毒を解消する)、止咳消痰(咳を止め痰を取り除く)、寛腸降濁(腸の緊張を緩め老廃物を排泄する)など。
適応症は、目の充血、口渇、貧血、体力低下、月経不調、熱を伴った咳嗽、動脈硬化、心血管病など。
豆腐は植物性食品の中でもタンパク質の含有量が非常に多く、大豆そのままに比べ吸収率もたいへん優れており、同時にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富なので、一種の滋養食品といえます。しかしタンパク質が多いがゆえに、腎臓には負担になるため、腎臓病の人は控えめにしましょう。またプリン体も多いので、痛風や高尿酸血症の人もあまり食べないようにしてください。
【参考文献】
梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005
夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食養大全,上海科学技術出版社,2006
イチゴの効能
昨日は大阪で今年初の真夏日となり、慣れない暑さにめまいがしそうでした
最近、某スーパー〇出でイチゴが特売になっているのを発見し、「こんなに安くて大丈夫?」とこわごわ購入してみたところ、普通に美味 少々傷みかけたものが混ざっていたものの、一両日中に食べきれば問題なく、先日もまた買ってしまいました
今が旬のイチゴですが、とりわけ暑い日にピッタリの食材ですよ
〔イチゴ(苺)〕
性味は涼・寒、甘・酸。
効能は、生津止渇(唾液の分泌を促進しのどの渇きを解消する)、健脾和胃(胃腸を丈夫にし消化機能を整える)、補血益気(血を補充し元気をつける)、涼血解毒(血の中にこもった余分な熱を除き毒素を分解する)、利尿など。
適応症は、熱を伴った咳嗽、のどの渇きや腫れ・痛み、食欲不振、小便が濃く少ない、貧血など。
寒涼性で熱を収める効能があるため、微熱やのぼせのある場合には適しますが、寒気がする時や冷え症の人には不向きです。一度にたくさん食べると胃腸を冷やしてしまいますし、せっかくの豊富なビタミンCも、必要量を超えれば排泄されるだけですから、日に二、三度に分けて少量ずつ食べましょう。
【参考文献】
梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005
夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食養大全,上海科学技術出版社,2006
寒邪で足がつる
このところ暖かい日が増えて桜も咲き、だいぶ春らしくなってきましたが、まだまだ寒さが戻る時もあり油断できませんね
先週の木曜日は朝かなり冷え込み(最低気温2℃!)、久々に足がつりました それが今月8日付のブログに書いた、左足の熱感が起こった部位だったのです
また一昨日も外出先で足が冷え、やはり同じ左足の外側がつり、どうもこの部位の「気血」の巡りが悪いようです
これらの足のつりは、中医学でいうところの「寒邪」(2012年12月3日付ブログ参照)が引き起こしたものと思われます
寒邪には凝斂・収引(凝集させる意)の特徴があるため、人体の気血を滞らせ、「通ぜざれば則ち痛む」という現象が生じたり、血からの栄養が不足して筋がひきつったりします
最近お灸をサボりがちなので、自分の体ももっといたわらないといけません
【参考文献】 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995