中医学

食養生の基礎知識

今日も大阪ではよく雨が降っていますrain 前回ご説明した「暑湿」の状態ですが、このような天候の変化による体へのダメージをなるべく小さくするために、養生が必要となりますdiamond

中医学の養生法には、運動や食事、日常生活の過ごし方など様々な種類がありますが、いずれも「人・時・地」の三要素に基づいて方針が決まります。「人」とは個々人の年齢や性別、体質等であり、「時」は四季、「地」はその土地の地理的特徴や気候条件を指します。

今回は「人」と「地」には少々目をつぶって、「時」すなわち夏という季節に基づいた養生、なかでも実行しやすい飲食の養生についてご紹介したいと思います。……が、やはりその前に基礎知識を押さえておかねばなりません。今日はまず基本のみですcoldsweats01

 

食材にも寒熱の性質があり、食べると体が冷えたり温まったりします。熱・温・(平・)涼・寒の「四性(しせい)」(平を入れた場合は「五性」)と呼ばれます。

またここで、五行(6月19日付ブログ参照)も関わってきます。飲食物の味覚を表す「五味」というものがあり、木・火・土・金・水に当てはめると、順に酸・苦・甘・辛・鹹(かん)です。酸はすっぱい、苦はにがい、甘はあまい、辛はからい、鹹はしおからい味です。五行に配当されるということは、自動的に五臓にも対応します(酸=肝、苦=心、甘=脾、辛=肺、鹹=腎)。これとは別に、五味にはそれぞれ異なった作用があります。

①酸‥‥‥汗や大小便などの排泄物を必要以上に排泄させない収斂作用

②苦‥‥‥体の余分な水分を排泄する燥湿作用

③甘‥‥‥痛みを緩和する作用、滋養強壮作用

④辛‥‥‥気血の巡りを良くする行気・行血作用、発汗作用

⑤鹹‥‥‥しこりやイボなど堅いものを軟らかくする軟堅作用、便秘を解消する潤下作用

以上の四性・五味は、基本的に漢方薬(中薬)の処方と同じ考え方です。これらは適量であれば望ましい効果を発揮しますが、過ぎたるはなお及ばざるがごとし、取りすぎると副作用が現れます。何事もバランスが大切です。

【参考文献】

 高橋楊子・上馬場和夫(著):体質・症状・年齢別 東洋医学で食養生,世界文化社,2005

 梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006  

 

この内容を踏まえて次回、夏に適した飲食物をご紹介しますbanana

蒸し暑さ

梅雨空が復活し、大阪は昨夜から蒸し暑いですねsweat02 節電期間が始まったばかりなので、自宅ではエアコンを使わずに頑張ったものの、早くも夏バテしそうですdown

 

6月8日のブログで「湿邪」について書きましたが、この「湿」は同じ「六淫」のうち「風」「寒」「暑」とそれぞれ結びついて、「風湿」「寒湿」「風寒湿」「暑湿」といった複合の邪となります。高温多湿の日本の夏は、暑湿による体調不良が多く見られます。

暑邪は読んで字のごとく暑さを表し、同じく六淫の「火」と併せて温熱の邪気に分類されます。火は暑より熱性の極まったもので、外来のものと内生のものとがありますが、暑は純粋の外邪で、発病には夏季という明らかな季節性があります。主な症状として頭痛・発熱・口の渇き・胸苦しさ・多汗などがあり、また暑邪は気や津液(5月28日のブログを参照)を損傷しやすいので、疲労・倦怠・多飲(とくに冷たい飲み物)・便秘・尿が濃くなる等の症状も伴うことが多いです。

暑邪は湿と絡みやすい性質があるため、上記の症状とともに湿による症状も現れます。すなわち体が重だるい、頭が包まれたように重い、みぞおちや胸がつかえる、吐き気・嘔吐、下痢してすっきり出ないなどです。

※便秘と下痢の両方があるのは一見、矛盾しているように思われるかもしれませんが、その時々で暑邪と湿邪のどちらがより優勢であるかの違いであると考えてください。また津液が少なくなると便秘になります(5月30日のブログ中「①熱秘」の状態)が、のどが渇いて冷たいものをガブガブ飲めば下痢することもありますねshock

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006 

肝について

遠回りしましたが、6月14日のブログで触れた「肝」について解説いたしますspade

中医学では肝・心・脾・肺・腎をまとめて「五臓」と呼びます。この「臓」とは、いったいどんな概念でしょうか。

人体の臓腑の生理機能と病理変化およびその相互関係は「臓象学説(蔵象学説)」に示されています。この学説は、古代の解剖の知識に基づいて臓腑・器官・組織を命名し、長期間の観察や数多の臨床経験により総合的な分析を加え、それぞれの生理機能を推測して導かれたものです。中医学でいう臓腑とは、単に解剖学的な臓器を指すだけでなく、その果たす機能とそこに現れる病理変化をも含んだ概念なのです。

臓象学説では、五臓とは人体の生命活動の中心であり、精神や意識の活動は五臓に帰属するものと見なされます。五臓に六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)が協力することによって人体の各組織器官は繋がれ、1個の統一された総体が構成されるのです。

その五臓の一つであるの主な生理機能は以下のようになります。

①疏泄(そせつ)を主(つかさど)る‥‥‥「疏」は疏通、「泄」は昇発(上昇・発散)・宣泄の意味です。肝は全身の気の巡りを良くし、のびやかにさせます。この機能が異常になると、胸や脇腹が張って痛んだり、胃腸の具合が悪くなったり、精神的にイライラあるいは抑うつ状態になったりします。

②血を蔵す‥‥‥肝は血液を貯蔵し、人体各部の血流量を調節する機能を持ちます。この機能の異常には「肝血不足」(虚)と「肝不蔵血」(実)があります。虚の場合は、目の乾燥やかすみ、筋肉のひきつり、四肢のしびれ、女性では月経血量の減少・無月経などが起こります。実の場合は、吐血、鼻出血、月経過多、不正性器出血などの出血傾向が現れます。

③筋を主る‥‥‥「筋」とは筋膜や腱・靭帯のことで、関節の運動をコントロールする組織です。筋は肝血の滋養作用によって維持されます。もしこの肝血が不足すると、筋力が衰え、筋肉のひきつりや手足の震え・しびれなどを引き起こします。

④目に開竅する‥‥‥肝の機能は目に反映されます。肝は蔵血を主り、肝の経脈(気血が運行する通り道)は目に上るので、視力は主に肝血の滋養に依存しているのです。②と同様に、虚実それぞれの異常により症状が現れます。虚ではかすみ目や夜盲、実では目の充血・腫脹・疼痛などが起こります。

⑤怒を主る‥‥‥肝は「五志(怒・喜・思・憂・恐)」の中の「怒」と強い関連性があります。人が強い怒りを覚えると、気血が上逆(のぼせる意)し、めまい・頭痛・顔面紅潮・目の充血などの症状が現れます。この症状は、肝が疏泄機能を失ったときの病理変化に似ているので、「怒」は肝に帰属すると考えます。

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995 

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006

 

いつもながら「ざっくり」した解説で恐縮ですが、このような中医学の奥深さに改めて感じ入りますcatface

 

中医学の基礎知識・2

今回は五行について解説いたしますpaper

五行の「五」とは「木・火・土・金・水」という5種の物質で、「行」は運動のことです。世界のあらゆる事物・事象が、この5種の基本物質の間で生じる運動と変化によって生成されるという考え方が五行学説です。これらの基本物質には、各々特有の性質があります。

中医学では、この五行を人体の臓腑器官に当てはめ、肝・心・脾・肺・腎をそれぞれ木・火・土・金・水に配当して「五臓」と呼んでいます。

また、五行における運動と変化の基本的な法則を「相生・相克」といいます。「相生」は相互助長・相互促進の作用で、木生火(木は火を生じる)、火生土、土生金、金生水、水生木という関係になります。五臓に当てはめると、肝生心、心生脾、脾生肺、肺生腎、腎生肝です。「相克」は相互抑制・相互制約の作用で、木克土(木は土を克する)、土克水、水克火、火克金、金克木という関係になります。五臓に当てはめると、肝克脾、脾克腎、腎克心、心克肺、肺克肝です。

このような相生・相克の作用によって、五行・五臓はお互いに補い合ったり、過剰を抑えたりしてバランスを保っています。そのバランスが崩れると、病的な状態が起こってきます。

【参考文献】

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006 

 

前回と今回の内容を踏まえて、次回に「肝」の解説をいたしますclub

中医学の基礎知識・1

「肝」の解説をする前に、まず中医学の理論体系の基本となる「陰陽学説」と「五行学説」からご説明しましょうclover

陰陽学説と五行学説は、いずれも元は中国古代の哲学理論ですが、古人が医療に取り入れて、人体の生理機能を把握したり、診断・治療の指針としたり、独特の発展を遂げました。両者を併せて「陰陽五行学説」と呼ぶこともあります。今回は陰陽学説をご紹介します。

 

陰陽は、世界のあらゆる物事や現象を陰と陽に分類する考え方です。たとえば陰に属するのは寒冷・下降・静止・衰退などで、陽に属するのは温熱・上昇・運動・亢進などです。この両者は対立したり消長したりしますが、あくまで相対的なものであり、純然たる陰や純然たる陽は存在しません。相互に対立しながらも相互に依存する関係です。陰の中にも陽が含まれますし、陽の中にも陰が含まれます。

道頓堀.JPG←これは夜の道頓堀です。夜は陰に属しますが、明るく照らされた看板は陽です。夜の闇と比較した場合、この看板は陽といえますが、看板のみで見ると、社名のある上部は陽(陽中の陽)、ランナーの足がある下部は陰(陽中の陰)となります。看板の表面においても、照明のついている部分は陽ですし、ついていない部分は陰です。

このように、陰陽はどこまでも細かく分類できます。ちなみに夜が明けて日が昇れば道頓堀は陽となりますし、看板の照明が消えれば陰です。陰の看板の上部は陽(陰中の陽)、下部は陰(陰中の陰)。。。きりがありませんね。

〔中医学での応用例〕

人体では腹が陰、背が陽。(←動物のように四足の姿勢になった時、太陽の当たる背中が陽、当たらない腹部が陰という考えからです。)/寒熱では寒が陰、熱が陽。/気血津液では気が陽、血と津液が陰。(←形のある物質は陰、形のない機能は陽という考えからです。)/臓腑では臓(実質器官)が陰、腑(中空器官)が陽。 

 

ごく大雑把な説明になりましたが、実際の診断・治療においては、「陰陽の調和」を重視します。どちらかに偏っていれば、相対的な平衡を保つように、過剰なものは減らし、足りないものは補うようにします。熱があれば冷まし、冷えがあれば温め、停滞したものは動かし、動きすぎているものは本来の居場所に戻します。

 

次回は五行について。soon

気散じ

昨日は午後、趣味の落語を聴きに行ってきましたear 笑うとストレス発散になりますねnotes

ストレスのたまった状態は、中医学でいうところの「気滞」に属します。「気鬱」「気結」という言い方もありますが、いずれも読んで字のごとく、気の滞った状態、うまく動いていない状態です。「気散じ」とはよく言ったもので、結ぼれて滞ったものがパッと散り、流れが良くなる感じがします。

さて気滞の原因には、運動不足や暴飲暴食などもありますが、臨床でよく見られるのは精神的なストレスによるものです。これは五臓の一つ「肝(かん)」が密接に関わっています。

以前、寒熱・虚実、気・血・津液についてご説明しましたが、この「五臓」も中医学の診断・治療に欠かせない考え方です。次回、「肝」について解説いたしますup

梅雨時の体調管理

今日は近畿を含む西日本と東海地方が、一気に梅雨入りしましたねsnail

これから湿気の多い季節ですが、中医学ではこの「湿気」も、病気の原因の一つと考えています。

気候の変化が急であったり異常であったりすると、体調を崩すことは日常よく経験しますが、中医学ではこれを外界からもたらされる病因=「外因」によるものととらえ、「外感病」と呼びます。外因には「六淫(ろくいん)」と「疫癘(えきれい)」とがあり、前者は「風・寒・暑・湿・燥・火」という6種類の気候的要素で、後者は伝染病の病原体に相当します。

六淫にはそれぞれ特徴があり、病気を引き起こす時には「風邪(ふうじゃ)」「寒邪(かんじゃ)」などと「邪」をつけて呼ばれます。一つ一つ説明していると長くなりますので、ここでは「湿邪」のみ取り上げましょう。

湿邪の性質は重濁・粘膩(ねんじ=粘っこい意)で、頭や足腰などが重だるくなったり、胸がつかえたような苦しい感じが起こったりします。しかも一度停滞すると、なかなか取り去ることができません。また、その重いという性質から体の下部に向かいやすく、下肢のむくみもよく引き起こします。内臓では消化器系にもっとも影響が出やすく、胃もたれや食欲不振、下痢などの症状が現れます。

日常生活の対処としては、消化の悪い食物を避け、体をこまめに動かして、気血の流れが停滞しないように心がけましょう。もちろん過労にならないよう、疲れたら休養をとり体力を衰えさせないことも、外邪から身を守る必須条件ですconfident

 

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006 

便秘の分類と治療法(東洋医学編)

前回の東洋医学(中医学)の基礎知識を踏まえ、便秘の分類をします。

中医学における便秘は、以下の①~④の4種類に分けられます。③はさらに2型あります。また①②は「実」の便秘、③④は「虚」の便秘です。

①熱秘(ねつひ、ねっぴ)‥‥‥胃腸内に熱がこもり、大便が乾燥して出にくくなった状態です。病気で熱が出た時や、もともと体温が高くなりがちの人、また辛い物や熱い物の過食により、津液が損傷することで起こります。中医学での治療方針は、熱を冷まし、腸を潤すことです。

②気秘(きひ)‥‥‥気の働きが滞ったために、胃腸の機能が低下して便が出にくくなった状態です。精神的なストレスや、長時間座っていてあまり動かないことなどで、気が正常に働かず消化・排泄が順調に行われないために起こります。中医学での治療方針は、気の鬱滞を取り除き、胃腸機能を整えることです。 

③虚秘(きょひ)‥‥‥身体が虚弱で、腸管が機能低下して便が出にくくなった状態です。虚しているものにより、さらに2種類に分けられます。

 a.気虚秘(ききょひ)‥‥‥気が不足し、消化・吸収・排泄の機能が低下した状態です。過労や飲食の不摂生、加齢、産後や病後、また慢性病などの理由により、気の生成が減って働きも弱り、便を出す力が衰えるために起こります。中医学での治療方針は、 気を補い、胃腸機能を強化することです。

 b.血虚秘(けっきょひ)‥‥‥血液の不足により大腸が潤いを失い、便が乾燥して固まった状態です。加齢や病後で体が弱ったり、産後に血液不足となることによって、大腸を十分に潤すことができなくなるために起こります。中医学での治療方針は、血を補い、腸を潤すことです。

 ※前回ご説明したように、気と血は互いに密接な関わりを持つので、a.b.両方が合併した「気血両虚」という状態も臨床上よく見られます。

④冷秘(れいひ)‥‥‥気の不足が進行して体温を維持する機能が衰え、身体の内部に冷えが凝り固まって便が出にくくなった状態です。平素から冷え症の人、また加齢により、気の温める作用が低下して腸管も冷え、便を出す力が弱るために起こります。中医学での治療方針は、内臓を温め、腸の動きを良くすることです。

【参考文献】前回に同じ.

 社団法人東洋療法学校協会(編),教科書執筆小委員会(著):東洋医学臨床論〈はりきゅう編〉,医道の日本社,1993

 

以上の分類と治療方針は、中薬(日本でいう漢方)と鍼灸共通です。中薬ではそれぞれに効用のある生薬を組み合わせて処方するのに対し、鍼灸では該当する経絡(けいらく、五臓六腑に対応した気血の通り道)やツボに、鍼やお灸をして治療します。

4回連続で「便秘」について東西双方の観点から、ごく大雑把ではありますが解説させていただきました。少しでも東洋医学について興味を持っていただければ幸いですhappy01

東洋医学の基礎知識

今回から東洋医学の考え方を紹介しますが、この「東洋」の中には日本も中国も朝鮮(韓国)も含まれます。当院では中国の医学=「中医学」を基本とした診断・治療をしていますので、中医学的な症候分類をします。

中医学の理論体系はやや複雑で、知識の全くない状態から基礎を身につけるには、早くても普通1~2年はかかりますので、ここではごく大まかな説明にとどめます。

便秘の分類をする前に、まずは最低限の基本的要素を解説させていただきます。

中医学の診断では、「虚実」「寒熱」というものを重視します。

◎虚実‥‥‥体力が不足して生理機能が衰えた状態が「虚」、体力は正常でも本来あるべきでないものが(過剰に)存在する状態が「実」です。

◎寒熱‥‥‥読んで字のごとく、体に自覚的・他覚的に冷えのある状態が「寒」、熱やのぼせのある状態が「熱」です。

また、皆さんも「気血」「気血水」という言葉を見聞きしたことがあると思いますが、中医学ではこれも基本となる要素です。ただ「気血水」というのは日本漢方で使う用語で、中医学では「気血津液(しんえき)」といいます。(ちなみに「漢方薬」とは日本で独自に発展したもので、中国では「中薬」といいます。)これらは人体を構成し、生命活動を維持する基本的物質です。

◎気‥‥‥すべての物質の基本となるものですが、働きはあっても肉眼で見えない物質です。臓腑の生理機能を指すこともあります。血液や栄養物質を運んだり、新陳代謝を促したり、体温を維持したり、排泄機能を調整したりと、さまざまな役割を担っています。

◎血‥‥‥現代医学でいう血液とほぼ同じで、脈管の中を巡って全身の組織・器官に栄養を与える物質です。気と相互に対立・依存する関係にあり、それぞれの運行や生成に、密接に関わっています。

◎津液‥‥‥人体内のすべての正常な水液(血液以外の液体)のことです。たとえば涙や唾液、鼻水、胃液などがこれに当たり、汗や尿も津液が変化したものです。機能としては、体の各部を潤し養います。

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006

以上の物質が、それぞれ「虚」=足りない状態であったり、「実」=過剰な状態あるいは滞ったり、また冷えたり熱を持ったりしていると、疾病が生じてきます。これらを踏まえて、次回に便秘の分類をご紹介いたします。