風邪(ふうじゃ)

昨日から暖かくなり、春らしくなってきましたtulip 風もけっこう強いので、すでに北陸・九州・中国地方で吹いた春一番が、そろそろ近畿にも来るでしょうかdash

さて、このような強い風は、中医学では「風邪(ふうじゃ)」と捉えられており、四季の中では春が主(つかさど)っています。以前にも「六淫(ろくいん)」の解説をしましたので、そちらもご参照ください。

風は四季を通じて存在しますが、風邪による発病は春に最も多くなります。性質としては、六淫中の他の邪に比べて軽いため、身体の上部や表面を侵しやすいです。この場合の上部とは、頭面部や肺(五臓六腑の中で最高所に位置)を指し、表面とは肌表面や汗腺などを指します。風邪が頭面部を傷害すると頭のふらつき・頭痛・口眼喎斜(こうがんかしゃ=顔面神経麻痺)が、肺を犯すと鼻閉・鼻水・咽の痒み・咳嗽などが起こります。また肌表への影響では、発汗や悪風(おふう=軽度の寒気があり風に当たるのを嫌がる)がみられます。

また「風は百病の長たり」といわれ、多くの疾病を引き起こす主要な因子となります。寒・湿・燥・熱など他の邪と結びつき、風そのものが持つ遊走性(あちこち動きやすい)により、経絡に入ると四肢末端にまで病変をもたらします。

さらに風は、五行においては木に属すため、五臓では肝と密接な関係にあります(2012年6月19日付ブログ参照・肝については同22日付参照)。したがって春は肝の病証が多く発生し、また肝の病変は内風(人体内部に起こる風)を生じやすいです。内風とは臓腑の機能失調により発生するもので、普段は肝の陰血によって上昇する性質を抑制されている肝陽が、陰血の不足により上逆することで「肝風」が生じます。その結果めまい・ふらつきが起こり、陰血不足で筋脈に栄養を与えることができなくなると、ひきつり・けいれんもみられます。

めまいや鼻炎にも原因はさまざまありますが、風邪や肝が主因のものはこれに応じた治療をすることで、症状の緩和や早期の回復が望めます。

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006