脾について

昨日から今朝にかけて、ずいぶん風が涼しく気温も下がりましたねdown しかし今日は二十四節気の一つ「大暑」、日中はしっかり例年並みの暑さになりましたsweat01

今月9日付のブログで「夏の食養生」をご紹介しましたが、中医学では五臓のうち、飲食や消化・吸収に関してもっとも重要な役割を担うのがです。先月の肝と同様、その主な生理機能を解説いたします。

 

①運化を主(つかさど)り、後天の本である‥‥‥「運」は運転・輸送、「化」は消化・化生(ある物質から他の物質を生成する)の意味です。脾は胃が飲食物を消化吸収するのを助け、それによってできた精微物質(栄養物質)を全身に運ぶ機能があります。また肺や腎と協同して、体内の水液代謝も維持しています。「後天」とは、出生後の人体の諸状況の総称で、人間が生まれてからの栄養・生長・発育は脾胃の消化吸収機能に依存します。

②昇清を主る‥‥‥脾気が清(精微物質)を上昇・運輸することを指します。上とは心・肺のことで()、心肺に運ばれた栄養物質は気血に化生され、さらに全身に行き渡ります。

③生血・統血する‥‥‥脾胃が運化した精微物質は血を化生する源であり、また脾気は血液が脈外にあふれ出ないよう統轄していることを示します。脾の働きが低下すると、血液が不足して頭のふらつき・目のかすみ・顔面や口唇が淡白になるなどの血虚が生じ、また出血しやすくなるため、皮下出血・血尿・血便・不正性器出血などが起こります。

④肌肉(きにく)・四肢を主る‥‥‥脾が吸収した精微が全身に輸送されて肌肉(筋肉・軟部組織)に栄養を与え、豊満で健全にします。同様に、四肢も精微物質の栄養を受けて運動をすることができるのです。そのため脾の運化が失調すると、肌肉は痩せ四肢はだるく無力になります。

⑤口に開竅(かいきょう)する‥‥‥脾の機能は味覚・食欲と密接に関係しています。脾が虚すると食欲がなくなり、味も感じられなくなります。

⑥思を主る‥‥‥「思」は思考・思慮のことで、脾の生理機能と深い関係があります。思考活動は脾の運輸する精微が基礎的物質になっています。思慮過度や思いが遂げられない時は、気の運行を滞らせ、進行すると食欲不振や腹が張って苦しいなどの症状が現れます。

「三焦(さんしょう)」といって、人体の臓腑を上・中・下の三つの部分に分ける考え方。上焦は心・肺、中焦は脾・胃、下焦は肝・腎・大腸・小腸・膀胱の機能に相当します。

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006  

 

肝と同じく、ごく基本的なことのみですが、紹介させていただきましたdelicious