頭痛の分類(現代医学編)

今日は彼岸の中日、秋分の日でしたねmaple 近年はずっと9月23日でしたが、22日になるのは明治29年(1896年)以来116年ぶりだそうですeye

さて前回予告しました「頭痛」について、今回は現代医学での分類をご紹介いたします。頭痛には急性のもの(くも膜下出血や脳出血、髄膜炎など)と慢性のものとがありますが、ここでは鍼灸の臨床で主に見受けられる慢性頭痛を取り上げます。またその中でも、脳腫瘍や頭頸部の外傷・血管障害、感染症、目や鼻の障害等々、頭痛の原因となる疾患がない「一次性頭痛」について解説いたします。(ちなみに原因疾患があれば「二次性頭痛」といいます。)

国際頭痛学会(IHS)による国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ、2003年)では、一次性頭痛は①片頭痛、②緊張型頭痛、③群発頭痛およびその他の三叉神経・自律神経性頭痛、④その他の一次性頭痛に分けられています。代表的な①~③について見てみましょう。

片頭痛‥‥‥文字どおり頭の片側に起こる頭痛で、ズキンズキンとした拍動性(心臓の拍動・脈拍に伴って変化する)の、中等度~重度の強さの痛みが4~72時間持続します。日常的な動作や入浴によって痛みが増し、悪心(胸のむかつき)や嘔吐、光過敏・音過敏を伴います。片頭痛には大きく分けて「前兆のない片頭痛」と「前兆のある片頭痛」の2タイプがあります。この「前兆」とは、頭痛が始まる直前または同時期に起こるもので、視覚症状(「閃輝暗点」というキラキラ光るジグザグの点や線が見えたり、視界の一部が見えなくなったりする)、感覚症状(チクチク感や感覚が鈍くなる)、言語症状(失語性の言語障害)です。これらはいずれも一過性のもので、持続時間は5分以上60分以内とされています。

緊張型頭痛‥‥‥一次性頭痛の中で最も一般的なタイプの頭痛で、頭の両側に起こります。圧迫感または締め付け感(非拍動性)の、軽度~中等度の強さの痛みが数分~数日間持続します。日常的な動作によって悪化することはなく、入浴したりリラックスすると改善するのが片頭痛との違いです。悪心はありませんが、光過敏または音過敏を伴うことがあります。発作の起こる頻度により、「稀発反復性緊張型頭痛」(1ヵ月に1日未満〈年間12日未満〉の頻度で発現する頭痛が10回以上)、「頻発反復性緊張型頭痛」(3ヵ月以上にわたり、平均して1ヵ月に1日以上15日未満〈年間12日以上180日未満〉の頻度で発現する頭痛が10回以上)、「慢性緊張型頭痛」(3ヵ月以上にわたり、平均して1ヵ月に15日以上〈年間180日以上〉の頻度で発現する頭痛)の3タイプに分かれます。

群発頭痛‥‥‥発作が群発して起こる「群発期」と発作のない「寛解期」がある頭痛で、一側性の重度の頭痛発作が眼窩(頭蓋骨の眼球が入る部分のくぼみ)部、眼窩上部、側頭部のいずれか一つ以上の部位に現れ、15~180分間持続します。発作頻度は2日に1回~1日8回です。発作時には頭痛と同じ側に結膜充血や流涙、まぶたの腫れなどの目の症状、鼻水や鼻づまりなどの鼻の症状が一つ以上伴います。群発期は数週~数ヵ月間続き、寛解期は数ヵ月~数年間続きますが、患者の約10~15%は寛解がない慢性症状を呈します。(なお三叉神経・自律神経性頭痛については、やや専門的になりすぎますので割愛させていただきます。)

以上、それぞれに症状が少しずつ違い、適する薬も違ってきます。また複数の種類の頭痛が混在する場合もあります。ストレスや睡眠不足あるいは寝すぎ、アルコールなど原因となる物事をできるかぎり避け、薬を服用する場合も専門医の指導に従ってください。自己判断で漫然と頭痛薬を飲み続けると、「薬物乱用頭痛」を引き起こし、ますます治りにくくなってしまいます。もちろん鍼灸も、頭痛の緩和に役立ちますshine