HLA型について
前回のブログで、「医療用iPS細胞ストック構築」に関連してHLA型のことを軽く述べましたが、いま一度詳しく解説いたします
HLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)は、白血球の血液型として発見されたものですが、HLAは白血球だけに存在するのではなく、ほぼすべての細胞や体液に分布し、他人と自分の細胞を区別する働きがあります。ヒトの免疫に関わる重要な分子なのです。
iPS細胞を用いて治療する場合、患者さん本人からiPS細胞を作製(自家)すると、倫理的問題も拒絶反応も回避できますが、費用(設備を占有する)と時間(数ヵ月)がかかってしまいます。これでは、事故など治療を急ぐケースでは間に合いません。そこで、あらかじめ拒絶反応の起こりにくいiPS細胞を他人から作製(他家)しておけば、速やかに治療を開始することができるのです。
HLA型の組み合わせは数万種類以上存在しますが、拒絶反応が起きにくいHLA型の組み合わせがあり、その組み合わせを持つ人の頻度は約2~4%とされています。この該当者を探す手段として、血小板成分献血に協力した人のHLA検査情報を利用するわけです。もちろん同意しない人は、その旨を伝えれば情報が利用されることはありません。
多くの日本人に対して拒絶反応が起きにくいHLA型の組み合わせのiPS細胞を、約50種類ストックすれば、日本人全体の約7割以上の患者さんの治療が可能になります。そのため、拒絶反応が起きにくいHLA型を持つ提供者(献血者)に対して、書面で「ご案内」が届くことになったそうです。
確率がかなり少ないので、自分が該当する可能性は低いですが、もし協力できるのであれば積極的に応じたいと思います
【参考資料】
日本赤十字社リーフレット
〔WEB〕厚生労働省:医療用iPS細胞ストック構築に対する日本赤十字社の協力について
山中伸弥:iPS細胞ストック構築の概要について
介護予防運動指導員
今日は久しぶりに本降りの一日でした 外は比較的涼しいものの、室内は蒸し蒸しして体がだるくなりますね
さて、本サイトの「院長紹介」ページにも記載のとおり、私は2010(平成22)年に「介護予防運動指導員」の登録をしており、3年ごとの更新手続きを先月済ませたところです
更新のために特別な講習や試験などはありませんが、新しい登録証とともに「フォローアップ用DVD」が送られてきたので、今日見てみました
内容は、過去に開催されたセミナーの録画で、どうしても単調なため舟を漕ぐこと数度 しかし終わりのほうで認知症の話題になり、集中力が上がってきました
というのも、母方の祖母が現在92歳で、年々認知症の症状が強くなってきており、他人事ではないからです。祖母は群馬県に住んでいて、普段会うことはほとんどありませんが、症状について理解を深めておけば、この先何かできることがあるかもしれないと思います。
指導員の講習を受けてから3年経ち、学んだことの記憶も薄れがちになっていたので、やはりこのような更新制度によって、初心を思い出すことの大切さを再確認しました
大阪府の風疹患者 全国最多
国立感染症研究所によると、大阪府内の風疹患者数が7週連続で全国最多を記録し、今年に入ってからの総数が2千人を超えたそうです。
大阪は人口が密集しているうえ、過去のワクチン接種率が低かったことも影響していると考えられます。
先月、大阪市ではワクチン接種費用の(ほぼ)全額助成を決めましたが、府としても、各市町村が費用補助する場合、その額の半分を府が負担する制度を創設したとのことです。
府内の全市町村が補助する方針になったそうなので、大阪府民で19歳以上の「妊娠を希望する女性」「妊娠している女性の配偶者」は、ぜひ予防接種を受けてください。
熱中症にご注意
ここのところ暑い日が続きますね 週間天気予報では、この先1週間も最高気温が30度前後で推移するようです ニュースでも、熱中症で救急搬送される人が出ていると報じています
まだ体が暑さに慣れていないため、体温調節が上手にできない今の時季、こまめに水分や塩分を補給して、無理をしないよう心がけましょう
かくいう私もここ1、2週間、暑さでのぼせて鼻血が出たり、頭痛がしたり、また水分補給を怠ってトイレの回数が減ってしまったりと、熱中症の初期らしき症状が代わるがわる現れました
まだ6月だから大丈夫と油断せず、夏本番と同様の対策をしましょう(自戒を込めて!)
風疹ワクチン費用助成について
当ブログで先月、大阪市が風疹の予防接種の助成を始めたと書きましたが、先日この制度の詳細を調べました
すると、対象者(19歳以上の大阪市民で、「妊娠を希望する女性」または「妊娠している女性の配偶者」)のうち、次に該当する場合は対象外となっていました↓
○麻疹風疹混合ワクチン(風疹ワクチン)の接種歴が2回ある人
○風疹にかかったことがある人
○妊娠中の女性(妊娠中は接種できません。女性はあらかじめ約1ヵ月間避妊した後ワクチンを接種し、その後2ヵ月間は妊娠を避ける必要があります。)
この要件に当てはめると、私は風疹にかかったことがあるので助成を受けられないようです たぶん抗体はあると思いますが、検査だけでもしようかと検討中です
世界禁煙デー 2013
昨年の今日も取り上げましたが、毎年5月31日は、世界保健機関(WHO)が中心となって喫煙防止を呼びかける「世界禁煙デー」で、今年のテーマは「Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship(たばこの宣伝、販売促進、スポンサー活動を禁止しよう)」です
しかし日本の厚生労働省は、禁煙週間(5月31日~6月6日)のテーマとして「たばこによる健康影響を正しく理解しよう」と掲げているだけで、上記のWHOの標語は原文のまま、日本語訳は明記していません。まだ本気でたばこを減らそう、なくそうとは思っていないようです。
たばこの煙には4,000種以上の化学物質、約200種類の有害物質、約60種類の発癌物質が含まれています(最近話題になったPM2.5も入っています)。それらは殺虫剤、電池、ガソリン、塗料、接着剤、殺鼠剤などに含まれている物質と同じものです。化学物質の中にはニコチンの吸収効率や許容量を高めるための成分もあります。 かがく か
去年のブログの繰り返しになりますが、喫煙習慣は「ニコチン中毒症」という病気です。本人の意思で吸っているわけではありません。たばこ1本でたちまち脳が侵され、ニコチンなどの強い依存性物質により次の1本が欲しくなるのです。ニコチン中毒はアルコールやマリファナ、ヘロインよりも依存性が高いといわれています。
またニコチン中毒は喫煙開始年齢が若いほど依存率が高く、再発の可能性も高いのです。ある調査では、22歳までに一度も吸わなければ一生吸わない可能性が高いが、18歳までに吸ったことのある人は、一度やめても再び吸ってしまう確率が高いそうです。そこで、たばこ産業としては若い人により多く吸わせようと、10代の子どもたちが「かっこいい」と思うような宣伝をしたり、若者をターゲットにした売り込み活動をするのです。
世界ではたばこのために毎年600万人の命が奪われ、そのうち60万人は受動喫煙によって命を落としている非喫煙者です。日本でも年間11万人の人が喫煙、もしくは受動喫煙の被害で亡くなっています。
「ストレス解消」という名目で吸っている人もいますが、そのストレスは単なるニコチン切れの離脱症状に過ぎません。たばこさえ吸わなければ、発生しないストレスです。
始めから吸わないのが一番ですが、吸ってしまっても、なるべく早くやめましょう。禁煙は何歳からでも遅くはありません。病気になるリスクが軽減し、食事もおいしくなり、不必要なイライラもなくなります。今はニコチンパッチや禁煙補助薬などで、以前より楽に禁煙ができるようになってきましたので、喫煙者の方はぜひトライしてください
【参考文献】
多田久剛:「やめろ」と言わない禁煙指導(1)~(4).Training Journal March-June,2013
WHO神戸センター、NPO法人・日本禁煙学会、厚生労働省の各ホームページ
風疹既感染でした
前回に引き続き風疹の話題です。
昨年6月4日付のブログで、母子手帳に予防接種した記録があると述べましたが、厳密には母の字で「風疹 56.5.5」と書いてあっただけでした。最近もう一度手帳のそのページを見直してみると、耳下腺炎や水ぼうそうと並べて書いてあり、もしや実際にかかっていたのでは?と思い母に確認してみると、案の定かかっていました。
というわけで、私は風疹に対する抗体は確実に持っているはず……ですが、必ずしも二度とかからないわけではないようです。子どものころに感染していても、成人してから抗体価が低下することもあり、また私の年代なら中学生の時に受けているはずの予防接種も、受けたかどうか記録も記憶もありません。
やはり今から予防接種を受けたほうがいいのか、今度かかりつけの内科へ行った際に聞いてみようと思います。とりあえず妊娠の予定はありませんが、患者さんで妊婦の方も来られる可能性はありますから、できる対策はしておきたいものです。
風疹予防接種
昨年から当ブログでもたびたび触れてきた風疹が、ますます感染の勢いを広げ続けています。患者数は今年の5月第1週までの時点で、大流行した去年1年間の合計の約2.5倍にも上るそうです。最近では流行の中心が、東京や首都圏から大阪に移ってきました。府内で最も患者数が多いのは大阪市で、府全体の5割を占めるということです。
この流れを受けて大阪市は17日、風疹の予防接種費用の助成(上限9586円)を始めると発表しました。対象は、今後妊娠を希望する19歳以上の女性か、妊娠している女性の配偶者です。単独の風疹ワクチンでも麻疹風疹混合(MR)ワクチンでもよく、多くの医療機関で全額助成になるようです。
期間は9月30日までで、5月13日以降に受けた人もさかのぼって助成するとのこと。一定の所得以上の人は、一部自己負担が求められます。接種対象に該当する方は、この機会にぜひ受けておきましょう。