健康

気散じ・2

今日は難波の松竹座へ「七月大歌舞伎」を観に行ってきましたnotes 笑ったり泣いたり、気持ちもリフレッシュshine

昼の部だったので、暑い盛りの時間帯にしっかり涼めて、ここのところの節電生活でできた汗疹(あせも)も少し良くなるかもsign02 節電もほどほどにしないといけませんね。。。

冬病夏治(冬の病気は夏に治す)

今日は中国・四国地方から近畿、東海、関東甲信まで梅雨明けが発表されましたsun 私の郷里の群馬では最高気温39度sign03 暑さもこれからが本番ですwobbly

烟台中医医院.JPGのサムネール画像さて私が以前、研修で訪れた中国では、この暑い盛りの時季を利用して、冬に発作が起きたり悪化したりする病気を治療しようという考え方がありました。これが今日のタイトル「冬病夏治」です。 

右の2点の写真は、いずれも研修先の山東省の煙台(えんたい)市中医病院で撮影したものです。5年前の8月半ばで、ちょうど鍼推科(鍼灸・推拿〈すいな≒マッサージ〉科)でも行われていました。

「患者心得」によると、夏季「三伏(さんぷく)」の隆盛の陽気を利用する、とあります。この三伏とは初伏・中伏・末伏の総称で、  夏の酷暑の期間を指します。夏至後の第3の庚(かのえ)の日が初伏、第4の庚の日が中伏、立秋後の第1の庚の日が末伏です。今年はちょうど明日7月18日が初伏に当たりますので、「冬病夏治」を始めるのに絶好の時機です!  

冬病夏治.JPGのサムネール画像

 

では具体的にどんな疾患が「冬病」に入るのでしょうか? この病院では、慢性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、慢性鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎、肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)、リウマチ、また寒さで悪化する胃腸病や頸肩腰下肢痛などを適応症としています。

冬になると調子の悪くなる方は、この機会に鍼灸治療を積極的に受けてみてはいかがでしょう。きっと半年後には、症状が楽になっていると思いますup 

夏の食養生

昨日は風がさわやかで涼しい一日でしたが、今日は暑くなりましたねsun 前回の内容を踏まえて、夏バテ防止の食養生法をご紹介します。

夏の食養生の原則は、「暑・湿を取り除く」ことと、「のどの渇きや脱水状態を止める」ことです。「湿」と「渇」では矛盾しているように見えますが、前々回のブログにある便秘と下痢の例と同様、暑と湿それぞれの強さによります。また湿邪によって下痢が起これば脱水状態になることもありますし、また消化・吸収機能の低下により水分が体の中で偏在すると、おなかに水が溜まっているのに口は渇く、ということもあります。

暑ければ冷たい物を取ればいいと考えがちですが、少量なら問題なくても、過剰に取れば胃腸の機能を低下させ夏バテ・夏カゼを引き起こします(体脂肪も増えます!)。そこで、前回の「四性」のうち涼・寒の性質の物が登場です。基本的に夏に旬を迎える物、南国で取れる物は涼性・寒性であることが多いです。また平性(温熱でも寒涼でもない)であっても、熱を冷ます作用をもつ物もあります。

「五味」では酸味・甘味・苦味を中心に、鹹味も適宜足すのがよいでしょう。辛味は、冷房や冷飲食などで体が冷えたとき以外あまり必要ないので、取りすぎに気をつけましょう。以下に夏に適した代表的な食材を挙げますが、これら以外はダメというわけではなく、またたくさん食べれば食べるほどよいというわけでもありません。当然ながら温かい状態か冷たい状態か、調理法によっても若干性質が変わってきますので、バランスを考えて上手に取り入れましょう。

 

〔夏に食べるとよい物〕 品目(五性/五味) ※五性・五味には文献により多少の異同があります。

ぱキキュウリ(涼・寒/甘)、トウガン(微寒/甘)、ニガウリ(寒/苦・微甘)、レンコン(涼・寒/甘)、ナス(寒・涼/甘)、トマト(微寒/甘・酸)、チンゲンサイ(涼/甘・苦・辛)、タケノコ(寒/甘・微苦)、ソバ(涼/甘)、豆腐(平・涼/甘)、緑豆(涼/甘)、スイカ(寒/甘)、バナナ(寒/甘)、メロン(寒/甘)、オレンジ(寒/甘・酸)、ビワ(平・微涼/甘・酸)、マンゴー(涼/甘・酸)、パイナップル(平/甘・微酸)、スモモ(平/甘・酸)、ウナギ(平・微寒/甘)、ハモ(寒/甘)、アワビ(平/鹹)、アサリ(微寒/鹹)、コンブ(寒/鹹)ウナギ、ハモ、アサリ、 ウナギ、ハモ、アサリ、 

 

なお、主食となる米や小麦、イモ類などは、どの季節でも適しています。飲み物は、緑茶(寒/苦・甘)やウーロン茶(涼・平/苦・甘)が夏にはお勧めです。日常よく食べる食材なら、問題になるような物はほとんどありませんが、夏はどうしても消化機能が低下しがちですので、脂身の多い肉や揚げ物、バターやクリームたっぶりの洋菓子など「こってり」メニューは控えめにしましょうcake

 

【参考文献】

 梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005 

 夏翔・施杞(主編),丁鈺熊・銭永益・趙陽(副主編):中国食療大全,上海科学技術出版社,2006

食養生の基礎知識

今日も大阪ではよく雨が降っていますrain 前回ご説明した「暑湿」の状態ですが、このような天候の変化による体へのダメージをなるべく小さくするために、養生が必要となりますdiamond

中医学の養生法には、運動や食事、日常生活の過ごし方など様々な種類がありますが、いずれも「人・時・地」の三要素に基づいて方針が決まります。「人」とは個々人の年齢や性別、体質等であり、「時」は四季、「地」はその土地の地理的特徴や気候条件を指します。

今回は「人」と「地」には少々目をつぶって、「時」すなわち夏という季節に基づいた養生、なかでも実行しやすい飲食の養生についてご紹介したいと思います。……が、やはりその前に基礎知識を押さえておかねばなりません。今日はまず基本のみですcoldsweats01

 

食材にも寒熱の性質があり、食べると体が冷えたり温まったりします。熱・温・(平・)涼・寒の「四性(しせい)」(平を入れた場合は「五性」)と呼ばれます。

またここで、五行(6月19日付ブログ参照)も関わってきます。飲食物の味覚を表す「五味」というものがあり、木・火・土・金・水に当てはめると、順に酸・苦・甘・辛・鹹(かん)です。酸はすっぱい、苦はにがい、甘はあまい、辛はからい、鹹はしおからい味です。五行に配当されるということは、自動的に五臓にも対応します(酸=肝、苦=心、甘=脾、辛=肺、鹹=腎)。これとは別に、五味にはそれぞれ異なった作用があります。

①酸‥‥‥汗や大小便などの排泄物を必要以上に排泄させない収斂作用

②苦‥‥‥体の余分な水分を排泄する燥湿作用

③甘‥‥‥痛みを緩和する作用、滋養強壮作用

④辛‥‥‥気血の巡りを良くする行気・行血作用、発汗作用

⑤鹹‥‥‥しこりやイボなど堅いものを軟らかくする軟堅作用、便秘を解消する潤下作用

以上の四性・五味は、基本的に漢方薬(中薬)の処方と同じ考え方です。これらは適量であれば望ましい効果を発揮しますが、過ぎたるはなお及ばざるがごとし、取りすぎると副作用が現れます。何事もバランスが大切です。

【参考文献】

 高橋楊子・上馬場和夫(著):体質・症状・年齢別 東洋医学で食養生,世界文化社,2005

 梁晨千鶴(著):東方栄養新書,メディカルユーコン,2005

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006  

 

この内容を踏まえて次回、夏に適した飲食物をご紹介しますbanana

蒸し暑さ

梅雨空が復活し、大阪は昨夜から蒸し暑いですねsweat02 節電期間が始まったばかりなので、自宅ではエアコンを使わずに頑張ったものの、早くも夏バテしそうですdown

 

6月8日のブログで「湿邪」について書きましたが、この「湿」は同じ「六淫」のうち「風」「寒」「暑」とそれぞれ結びついて、「風湿」「寒湿」「風寒湿」「暑湿」といった複合の邪となります。高温多湿の日本の夏は、暑湿による体調不良が多く見られます。

暑邪は読んで字のごとく暑さを表し、同じく六淫の「火」と併せて温熱の邪気に分類されます。火は暑より熱性の極まったもので、外来のものと内生のものとがありますが、暑は純粋の外邪で、発病には夏季という明らかな季節性があります。主な症状として頭痛・発熱・口の渇き・胸苦しさ・多汗などがあり、また暑邪は気や津液(5月28日のブログを参照)を損傷しやすいので、疲労・倦怠・多飲(とくに冷たい飲み物)・便秘・尿が濃くなる等の症状も伴うことが多いです。

暑邪は湿と絡みやすい性質があるため、上記の症状とともに湿による症状も現れます。すなわち体が重だるい、頭が包まれたように重い、みぞおちや胸がつかえる、吐き気・嘔吐、下痢してすっきり出ないなどです。

※便秘と下痢の両方があるのは一見、矛盾しているように思われるかもしれませんが、その時々で暑邪と湿邪のどちらがより優勢であるかの違いであると考えてください。また津液が少なくなると便秘になります(5月30日のブログ中「①熱秘」の状態)が、のどが渇いて冷たいものをガブガブ飲めば下痢することもありますねshock

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修),劉桂平・孟静岩(主編):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006 

熱中症対策

今日は梅雨の中休みでよく晴れましたねsun 厚手のバスタオルもスッキリ乾き、お日さまの香りですnote

しかし気になるのは今後の暑さ。去年よりいっそう節電に努めなければいけないうえ、西日本は平年より暑くなる可能性が高いそうです。

そうなると、熱中症に対する注意がとりわけ必要になってきますwobbly 熱中症とは、体温が上がっても汗が十分に出ず、そのために熱を外に逃がすことができずに体の中心部の体温(深部体温)が上がりすぎてしまった状態です。

日本救急医学会「熱中症に関する委員会」の報告によれば、記録的な猛暑となった2010年の6~8月、全国94救急医療施設に熱中症で救急搬送された患者数を10日ごとに区切って調べたところ、7月21日~31日が最も多く、重症者・死者の割合も特に高かったようです。この時期は梅雨明け直後で、まだ体が暑さに慣れていない状態で猛烈な最初の熱波を迎えたために、患者が急増してしまいました。その後も第2、第3の熱波が来ましたが、第1波の時ほどは患者も死亡者も多くなかったそうです。

今年は一昨年ほどの酷暑にはならないでしょうが、今のうちから体を暑さに慣らす(暑熱順化といいます)ために、朝夕の涼しい時間帯にウォーキングをしたり、軽く汗をかく程度の運動を毎日の生活に取り込みましょうshoe

また運動後30分以内に牛乳や乳製品をとると、体内の血液の量が増加して発汗しやすくなり、体温調節機能の改善効果が上がるそうですよupwardright

気散じ

昨日は午後、趣味の落語を聴きに行ってきましたear 笑うとストレス発散になりますねnotes

ストレスのたまった状態は、中医学でいうところの「気滞」に属します。「気鬱」「気結」という言い方もありますが、いずれも読んで字のごとく、気の滞った状態、うまく動いていない状態です。「気散じ」とはよく言ったもので、結ぼれて滞ったものがパッと散り、流れが良くなる感じがします。

さて気滞の原因には、運動不足や暴飲暴食などもありますが、臨床でよく見られるのは精神的なストレスによるものです。これは五臓の一つ「肝(かん)」が密接に関わっています。

以前、寒熱・虚実、気・血・津液についてご説明しましたが、この「五臓」も中医学の診断・治療に欠かせない考え方です。次回、「肝」について解説いたしますup

肩こり製造機

今年に入ってから副業で、鍼灸学校の先生方がされている学術論文のデータベース作りを手伝っていますpc

パソコンでたくさんの論文を読みながらチェックリストを作っていくので、目は疲れるわ、肩はこるわ、、、sweat02

誰かが「パソコンは肩こり製造機だ」というようなことを言っていましたが、まさにその通りだと思いますsign01

人類史上、これほど人間に同じ姿勢を長時間強要するものはなかったそうで。でも使わないわけにはいきませんから、適度に休息やストレッチなどを入れながら、上手に付き合うとしましょうthink

梅雨時の体調管理

今日は近畿を含む西日本と東海地方が、一気に梅雨入りしましたねsnail

これから湿気の多い季節ですが、中医学ではこの「湿気」も、病気の原因の一つと考えています。

気候の変化が急であったり異常であったりすると、体調を崩すことは日常よく経験しますが、中医学ではこれを外界からもたらされる病因=「外因」によるものととらえ、「外感病」と呼びます。外因には「六淫(ろくいん)」と「疫癘(えきれい)」とがあり、前者は「風・寒・暑・湿・燥・火」という6種類の気候的要素で、後者は伝染病の病原体に相当します。

六淫にはそれぞれ特徴があり、病気を引き起こす時には「風邪(ふうじゃ)」「寒邪(かんじゃ)」などと「邪」をつけて呼ばれます。一つ一つ説明していると長くなりますので、ここでは「湿邪」のみ取り上げましょう。

湿邪の性質は重濁・粘膩(ねんじ=粘っこい意)で、頭や足腰などが重だるくなったり、胸がつかえたような苦しい感じが起こったりします。しかも一度停滞すると、なかなか取り去ることができません。また、その重いという性質から体の下部に向かいやすく、下肢のむくみもよく引き起こします。内臓では消化器系にもっとも影響が出やすく、胃もたれや食欲不振、下痢などの症状が現れます。

日常生活の対処としては、消化の悪い食物を避け、体をこまめに動かして、気血の流れが停滞しないように心がけましょう。もちろん過労にならないよう、疲れたら休養をとり体力を衰えさせないことも、外邪から身を守る必須条件ですconfident

 

【参考文献】

 神戸中医学研究会(編著):基礎中医学,燎原,1995

 高金亮(監修):中医基本用語辞典,東洋学術出版社,2006 

風疹 急増中

新聞やテレビのニュースで先週から報じられていますので、ご存じの方も多いと思いますが、近畿を中心に風疹患者が急増しています。過去4年で最多だった昨年を上回る勢いで、特に20~40代の男性が多くなっています。

というのも、風疹は妊娠12週までの初期の妊婦が感染すると、胎児に「先天性風疹症候群」といって心臓病や難聴、白内障などが発生する可能性が(5割程度)あるので、国内で風疹ワクチンの接種が始まった1977(昭和52)年から1994(平成6)年までは、女子中学生のみが定期接種の対象だったのです。しかし女子のみの接種では風疹の流行を防ぐことができなかったため、1995(平成7)年からは生後12ヵ月から90ヵ月未満の男女小児と男女中学生が対象になりました。中学生男女への接種は、対象変更の際に2003(平成15)年9月までの一時的な移行措置として行われていたもので、現在は生後12ヵ月から90ヵ月未満の男女小児のみが定期接種の対象となっています。このような経緯で、現在30代後半以上の男性は定期接種の機会がなく、20~30代前半の男性も接種率が低く、これらの年代の男性で免疫のない人が多いという状況になってしまいました。

風疹は咳やくしゃみなどからの飛沫感染で、普通の生活の中でうつりますので、確実な予防はワクチンしかありません。感染した場合の主な症状は全身の発疹と発熱で、一般的に大人のほうが子どもより症状が重く、39度近い高熱が出ることもあります。子どもでも、まれに急性脳炎や髄膜炎といった重篤な症状を起こすこともあります。これらのことから、女性に限らず男性も、予防が非常に大切です。

厚生労働省研究班の調べによると、2011年に国内の患者からとった風疹ウイルス約20検体の大半がタイやフィリピン、ベトナムなど東南アジアで流行しているタイプの可能性が高かったそうです。このような地域への旅行や出張の際には注意してください。

また風疹ワクチンは弱毒生ワクチンのため、妊娠中は接種できません。妊娠を希望する女性や家族は、過去の接種や感染経験で十分な免疫がついているかどうか検査を受け、必要であれば事前にワクチンを打ちましょう。

ちなみに私は、母子手帳を調べたところ昭和56年5月5日(4歳半)に接種した記録があり、親が任意接種で受けさせてくれたようですheart 現在、妊娠・出産の予定はありませんが、必要が生じれば免疫の検査をしようと思いますgood